山下敦弘監督が『告白 コンフェッション』の手応えを語る 「中学2年生の自分に観てほしい」

5月31日に全国公開される生田斗真とヤン・イクチュンがW主演を務める映画『告白 コンフェッション』のメイキング写真と山下敦弘監督の特別コメントが公開された。

本作は、1998年にヤングマガジンアッパーズで連載された、『カイジ』の福本伸行と『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじのタッグによる同名コミックを実写映画化するもの。極限状態に置かれた死を覚悟した親友の最期の“告白”を聞いてしまった男と、言ってしまった男の山小屋内での一夜が描かれる。

告白を“聞いてしまった男”浅井啓介を演じるのは、『土竜の唄』シリーズや『渇水』などの生田。自らの罪をうっかり“言ってしまった男”リュウ・ジヨンを『息もできない』のヤン・イクチュンが演じる。原作では日本人の石倉というキャラクターだった設定が、韓国から来た留学生のジヨンへと変更された。また大学時代の登山中に事故死したとされているヒロイン・西田さゆりを奈緒が演じる。

今なお読み継がれ、驚愕の展開と結末が読者の心を揺さぶり続けている漫画を実写映画化しようとプロデューサーが山下監督に持ち掛け、2018年に企画が具現化。原作を読んだ山下監督は、「サスペンスというカテゴリーですが、福本さんらしいユーモアが満載で、そこを映画にも活かしたいと思いました」と振り返る。

大学山岳部のOBで親友の浅井(生田斗真)とジヨン(ヤン・イクチュン)は雪山登山中、猛吹雪により遭難。そこで、死を確信したジヨンは、実は16年前に大学の卒業登山中に行方不明となって事故死とされていた同級生・西田さゆり(奈緒)は「自分が殺した」と浅井に“告白”する。だがその直後、目の前に山小屋が出現し、2人は命を取り留めることに。そこから2人の気まずい一夜が幕を開けるというストーリーだが、監督が本作の演出で一番考えを巡らせたことは、“笑い”だったという。

「サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』が大好きで、初めて観た時はムチャクチャ怖かったのですが、何度か観ているうちに、この映画、笑っていいんだ、と。そんな怖さとおかしさが共存する作品にしたかったというのはありました」と監督が語るように、劇中、ジヨンの見事な階段落ち、浅井のバレバレな寝たフリ、マメに武器を探しては次から次へ試してみるジヨンなど、浅井とジヨンの攻防戦の中に、クスっと笑える場面が要所要所に取り込まれている。山下監督が「原作の福本さんらしいユーモアと、僕の目指した笑いの要素が融合できたのではないかと思います」と自信のコメント。

また、今回の主題歌であるマキシマム ザ ホルモンの起用も、山下監督の発案だという。監督は「最後に登場人物の誰かについて歌い上げて余韻に浸るような映画ではないし、かといって静かに終わるのも違うと考えた時、歌詞と音楽が一体化してて、しかも本編をぶち壊すようなエネルギーを持つマキシマム ザ ホルモンの様な楽曲がいいのではと閃きました」と語り、さらに「まさか引き受けてもらえるとは思ってなかったので、本当にうれしかったですね。初めてデモを聴いた時点で、あまりのカッコよさに興奮しました。この主題歌のためにも、早く映画を完成させようと思ったくらいです」と振り返る。

数多くの青春映画を生み出してきた山下監督だが、「この仕事を始める前は、もともとこういう映画が好きでした」と意外な事実を明かし、「その頃に観ていた映画を思い出しながら撮影したので、野心あふれる新人監督が最初に撮ったような、初々しい作品になったのではないでしょうか。今は中学2年生の自分に観てほしい映画ができたという気持ちです」とコメントを寄せた。
(文=リアルサウンド編集部)

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