『Believe』一ノ瀬颯が“主役回”で見せた逡巡の表情は絶品 ラスト数分で新事実が明らかに

ドラマ『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)第4話では、脱走中の狩山(木村拓哉)が南雲(一ノ瀬颯)に接触。無実を証明する重要証拠を狩山に渡すか、それとも会社のために保身を図るか、南雲が大きく鍵を握る回となった。

帝和建設で働く部下として狩山を尊敬し、公私ともに一緒に過ごす時間が多かった南雲。狩山は部下として信頼しているからこそ、南雲に無実を証明する設計書のデータを預けていた。それが入っているSSDを取り戻し、出頭して警察や検察を動かすことが狩山の目的だ。

婚約者である絵里菜(山本舞香)が「助けたら引きずり込まれる」と南雲を引き止めるように、それが危ない橋だと分かっていても、南雲は狩山に手を差し出してしまう。かつて、龍神大橋の建設のために、ともに徹夜をした日々。デキる上司としてのイメージがありながら、「やる気があるんだか、ないんだか分からない部下がいて困ってた」という自身を思った狩山の悩みを聞き、南雲は気持ちがグラグラ揺れ動く。

結果的に南雲は会社に預けていたSSDを回収し、狩山に手渡そうとするが、弁護士の秋澤(斎藤工)に追われたことで非常階段から足を滑らせ、重体となってしまう。狩山は証拠を手に入れることができずに計画は失敗。病院に緊急搬送された南雲は、ここで一時リタイヤということになるだろうが、演じる一ノ瀬颯としては逡巡する姿が自然であった。

腹を空かせた狩山を心配しながらも電話先で逆上してしまうのは、それほどまでに南雲にとっても重責かつ心残りのある案件だったからだ。ベトナムへの海外赴任と婚約が決まっている南雲だが、思い返せば彼の心からの笑顔を見た覚えがなかった、ということに狩山との回想の中で喜び合う南雲の表情を見て気づいた。それほどまでに彼はずっと思いつめていたのだろう。

南雲が重体になってしまったことで、絵里菜は狩山への激しい恨みを持つようになっている。「全部狩山部長のせいです」と刑事の黒木(竹内涼真)に伝える絵里菜の憎むような眼差しは今後の物語に影響していきそうな予感がする。

妻であり看護師である玲子(天海祐希)にとっても、肋骨を骨折している脱獄者の狩山を助けるか否か、判断に迷う局面となった。南雲以上に心配したり、怒ったりと情緒不安定なのは、狩山を今でも大切に思っている証拠。狩山と同じく嘘が下手者同士、物語のラストには玲子が狩山に告白していた余命1年の癌というのが事実であることが明らかになる。

さらに第3話で刑務官の林(上川隆也)が狩山を病院から脱走させた後、「私です。成功しました」と報告していたのは、東京都知事の榛名文江(賀来千香子)であることが判明。榛名は、龍神大橋プロジェクトの舵を取る都知事であったが、その真の目的がなんなのかはまだはっきりとはしていない。

そして、物語のラストに突如登場し、出頭しようとする狩山を強引に軽トラに乗せた謎の男・半田豊(田中哲司)。永代警察署でのシーンから察するに、どうやら彼は女子大生の娘を殺された父親のようだ。人生の設計図をもう一度描き直そうとする狩山にとって、半田は希望か、それとも絶望か。

(文=渡辺彰浩)

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