『Re:リベンジ』理事長になった海斗に待ち受ける新たな困難 求心力のある芳根京子の演技も

見えているものが全てではないのかもしれない。私たちに見えている“表面”の背後には何が潜んでいるのか、その一瞬の疑念が視聴者を引き込んでいく。怪しい登場人物たちのパーソナルな面が少しずつ明らかになり、物語の奥行きが増していくフジテレビ系木曜劇場『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)。話を追うごとに、各キャラクターの背後に隠された大切なものが垣間見え、彼らの複雑な人間関係がさらに深まっていく。

天堂海斗(赤楚衛二)は、大友郁弥(錦戸亮)との熾烈な戦いに勝利し、ついに天堂記念病院の理事長に就任した。彼の心には、父である元理事長・天堂智信(光石研)の悲願であった「心臓血管外科プロジェクト」に対する強い思いが宿っている。「これまでの閉鎖的な経営を打破し、一丸となって天堂記念病院を取り戻していきましょう」と、熱い決意を胸に新たな一歩を踏み出す海斗。その姿は、希望に満ち溢れた未来を予感させる……も、すでに彼の前には新たな困難が待ち受けていた。

郁弥は、海斗が融資を取り付けた投資ファンド・レイスキャピタルの不祥事の情報を掴んでおり、その情報を週刊誌にリークすることで、病院の会長・天堂皇一郎(笹野高史)に「騒ぎが大きくなる前に海斗を理事長の座から降ろすべき」と助言するのだった。

一方、前回のエピソードで出版社時代の後輩・木下紗耶(見上愛)に告白された海斗は、食事をしていた時に「あの時伝えたことは嘘じゃありませんから」と告げられ、彼女の思いを改めて知る。しかし、その瞬間の余韻もつかの間、秘書・高村実(利重剛)からの電話で、レイスキャピタルが投資詐欺によって違法に資金を集めている可能性があることを知る。まるで次々と押し寄せる波のように、ひとつの困難を乗り越えると海斗の前にはまた新たな試練が待ち受ける。まるで運命に試されているかのようだ。

急いで病院へ戻り、レイスキャピタルの阿川遼太郎(矢柴俊博)に電話をかけるも、無情にもつながらない。海斗は皇一郎に出資元の不祥事を正直に報告し、深々と謝罪する。しかし、皇一郎は穏やかな笑みを浮かべながら「契約は元々結んでいない」と告げるのだった。皇一郎の冷静な判断により、事前に契約は破棄されていたのだ。

そして、郁弥がそのことを見抜き、先を読んで行動していたことも明らかになる。さらに、皇一郎は新たな出資元も用意していた。郁弥との戦いに勝利したはずの海斗だったが、結果的に「今後、私がお前に求めるものは成果だ。成果を出してくれ」と皇一郎に強く求められることになる。海斗の心には、新たな試練の重みがのしかかるのであった。

その頃、心臓病を抱える朝比奈陽月(芳根京子)の妹・美咲(白山乃愛)は発作を起こし、緊急処置を受けていた。緊迫した状況の中、病院には必要な設備が整っておらず、体に負担の大きい手術に耐えられるかどうかもわからない。そして、やはりどうしても郁弥を信用できない海斗は、郁弥にプロジェクトから外れるよう伝える。「美咲ちゃんは、私が必ず救ってみせます」と力強く言い切った海斗だが、郁弥を追い返してしまったことが本当に正しい選択だったのだろうか。

そして今回、朝比奈姉妹の絆は感動を誘う場面でもあった。佐竹(柏原収史)から入院費のことを知らされた美咲は、自分が病気で陽月に迷惑をかけていることを謝罪する。「美咲がいてくれる毎日が何より幸せなの。あなたが元気になって、一緒の時間を過ごせることがいちばんの幸せなの」と語る陽月の言葉に、視聴者の心は深く揺さぶられた。「病気を治して、楽しいことをたくさん一緒にしよう」という言葉もまた、涙を誘う瞬間だった。

2013年に放送されたフジテレビ木曜劇場『ラスト♡シンデレラ』で女優デビューを果たした芳根京子にとって、11年ぶりの木曜劇場への凱旋となる今回の出演。最初は郁弥との関係性からミステリアスさが際立っていた陽月だったが、芳根はその求心力のある演技で、陽月の持つ脆さと真っ直ぐさを見事に刻みつけた。

さらに今回は、新たに加わった医師、若林(橋本淳)と岡田(内田慈)が登場。岡田の赤いハイヒールの画像は事前に公式Instagramでも示唆されており、視聴者の関心を集めていた。豊富な実績を持つ岡田に信頼を寄せる海斗は、「この手術が成功した暁には、岡田先生にはこのプロジェクトのリーダーを担ってもらうつもりです」と明言する。橋本淳は自身のX(旧Twitter)で「ここから登場する内田慈さんと橋本淳は、藤野P曰く、この作品におけるダブルボランチらしいです」と発言しており、海斗と郁弥の対決が見どころだけでなく、今後は新たな医師たちの活躍にも注目が集まりそうだ。

第6話では「誰が理事長になっても実権を握ることはできないんでしょうね」という発言に同意する郁弥の姿が描かれていたが、郁弥が皇一郎を倒すためにここに来たのか、それとも別の野望を抱いているのか。彼の行動や発言には謎が多く、その真意を見極めるのは容易ではない。今回、レイスキャピタルの件で郁弥の洞察力と先見性が浮き彫りとなった……が、郁弥が見据えているものは、海斗を単に理事長の座につかせないようにすることよりも、さらに“大きなもの”なのかもしれない。郁弥の真意が明かされるその瞬間を、誰もが息をのんで待ちわびている。

(文=すなくじら)

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