【ミャンマー】実勢4千チャット台に下落、統制機能せず[金融]

ミャンマーの現地通貨チャットの実勢レートが16日までに、1米ドル(約154円)=4,000チャット台まで下落した。3年前のクーデター後にこの水準に迫ったことは2回あるが、一時的なものだった。今年はじわりとチャット安が進んでおり、軍事政権による強権的な統制は機能していない。

情報サイトによると、実勢レートは15日、両替商の米ドルの買値が1米ドル=3,990チャット、売値が同4,030チャットとなった。16日朝も据え置きで、中央値が4,000チャット台の状況が続いた。

ミャンマーでは、中央銀行が22年8月から公定レート(参考レート)を2,100チャットに固定している。同行が管理する国内企業間のオンライン取引レートは3,300チャット台前半で推移。それぞれの乖離(かいり)幅が大きい多重相場が発生している。

中銀は14日、両替商に対して「中銀が定めた相場で取引する義務があり、違反すれば法的措置を取る」と警告した。中銀は公定レートを維持しつつもオンライン取引レートを「実際の価値」としており、レートが多様化している。

中銀は実勢レートの下落に歯止めをかけるため、両替商の取り締まりを厳格化したり、就労や留学のために出国する人に少額の外貨を販売したりといった対策を講じている。ただ、政情不安で紛争が激化し、経済の混乱が続く中での無理な統制で、外国為替市場にひずみが生じている。

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