【タイ】EGAT、小型モジュール原子炉の導入検討[公益]

タイ発電公団(EGAT)のタワッチャイ副総裁(戦略担当)は15日、タイの首都バンコクで開かれた再生可能エネルギーに関するプレスカンファレンスで次世代原発とされる「小型モジュール原子炉(SMR)」の導入を検討していると明らかにした。年内に制定予定の新たな「国家エネルギー計画2024(2024~37年)」に盛りこまれる可能性がある。

タイ政府は2011年の東日本大震災を受けて、原子力発電の導入を先送りしているが、新たなエネルギー計画には設置を盛りこむ方針を示している。SMRは従来型に比べて出力が小さく、安全性に優れるとされる。米英や中国など各国で開発が進んでおり、米国のカマラ・ハリス副大統領は2022年11月、気候変動対策を目的としたプログラムの一環として、SMRを通じてタイの原子力発電開発を支援するとの声明を発表している。

タワッチャイ氏は「EGATはグリーンエネルギーの調達や代替エネルギーへの対応準備を進めている。タイと近隣諸国のエネルギーの安定供給と安全保障、持続可能性に尽力する」などと述べた。国家エネルギー計画2024は、9月に発表される見通しとなっている。

同プレスカンファレンスには、タイ国営石油PTTの上流石油・ガス事業部門のウッティコーン最高執行責任者(COO)も登壇。タイでは今後、液化天然ガス(LNG)と電気自動車(EV)の役割が増すとした上で、LNGのポートフォリオ追加やEVバリューチェーンの構築に取り組んでいくと演説した。LNGポートフォリオは30年までに年間900万トン分追加する計画。再生可能エネルギーの発電容量は現在の4,906メガワットから30年までに1万5,000メガワットに増やすことを目指している。

プレスカンファレンスは次世代エネルギーと次世代モビリティーの展示会「フューチャー・エナジー・アジア」に合わせて開かれた。展示会には三菱重工業や横河電機といった多くの日系企業のほか、電動トゥクトゥク「スマートゥク(SmarTuk)」を手がけるオランダのeトゥク・ファクトリー、中国自動車大手の中国第一汽車集団などが出展した。

展示会には国内外の大手企業が数多く出展。中国第一汽車集団はEV商用車を展示した=15日、タイ・バンコク(NNA撮影)

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