主導役、実行役の容疑者は黙秘 那須・夫婦焼損遺体事件から1カ月 動機や経緯、全容見えず

事件の構図

 栃木県那須町伊王野の河川敷で4月中旬に夫婦の焼損遺体が見つかった事件は16日、発覚から1カ月がたった。県警と警視庁の合同捜査本部は死体損壊容疑で6人を逮捕。仲介役とされ、殺人容疑で再逮捕された埼玉県越谷市、建設業の男(25)らの供述から指示や報酬の流れなどの構図が浮かび上がってきた。一方、主導役や実行役とされる容疑者は取り調べに黙秘し、動機や経緯など明らかになっていない点も多い。合同捜査本部は防犯カメラ映像などの証拠を積み上げ、殺人容疑で他の容疑者の再逮捕を視野に捜査を進める。

 死亡したのは東京都千代田区、会社役員男性=当時(55)=と妻の会社役員女性=同(56)。遺体は4月16日早朝、那須町伊王野の河川敷で見つかった。

 建設業の男は、指示役とされる住所、職業不詳の男(28)=死体損壊容疑で逮捕=から4月上旬、夫婦の殺害と遺体の処分の依頼を受けたとされる。建設業の男は「報酬を増やす約束で殺害の指示を受けた」と供述。ガソリンなどを準備し「(実行役)2人に頼んだ」と説明した。

 6人のうち、最初に逮捕されたのは建設業の男で、都内の交番に自ら出頭した。建設業の男は「(職業不詳の男から)出頭するよう指示された。断ったら殺されると思った」などと供述していたことも新たに判明。事件の構図や役割は、建設業の男の当初の供述を中心に浮かび上がってきた。

 主導役とされるのが、夫婦の長女の内縁の夫で東京都世田谷区、会社役員の男(32)。被害者夫婦と仕事などを巡るトラブルがあったとされ、事件の指示と報酬は主導役とされる男から流れたとみられる。

 捜査関係者によると、主導役とされる男と千葉県船橋市、会社役員の男(36)、実行役の2人は黙秘が続く。殺人容疑で再逮捕後は建設業の男も黙秘に転じたとされる。

 捜査本部はこれまでに夫婦の遺体を運んだとみられる建設業の男の車を押収。車内からは被害者の血痕が付いたハンマーや電気コード、被害者の運転免許証などが見つかった。夫婦が殺害されたとされる都内の空き家ガレージでは被害者の血痕が見つかった。

 膨大な防犯カメラ映像の捜査により、夫婦が殺害された4月16日未明、容疑者6人が空き家やその周辺にいたことも判明した。6人はどのような役割で殺害や死体損壊に関与したのか。捜査本部は動機や経緯の解明を進めている。

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