仮設敷地に「共同浴場」 孤立防止へ交流・見守り 県6月補正予算案

各地で整備が進む仮設住宅。県は敷地内に共同浴場を備えた施設を整備する=珠洲市内

  ●七尾以北6市町、関連死抑止へ 

 石川県は、能登半島地震の被災地にある仮設住宅の敷地内に、共同浴場を備えた福祉施設を整備する方針を固めた。集団避難生活から離れた被災者は、孤立して体調が悪化することも懸念されるため、銭湯のように利用者が交流できる空間を設け、異変に気付きやすい環境を整える。今後も増える可能性がある災害関連死の抑止につなげる。

 県が施設整備に必要な経費を負担し、市町と地元の介護福祉事業者が設置・運営に当たる。県は6月補正予算案に費用を盛り込む見通しで、候補地は七尾以北6市町の仮設住宅を想定。場所や規模については今後協議する。

 施設には介護サービス機能を持たせ、介助しやすい浴場のほか、厨房、食堂、多目的室などを設置する。地域によっては、仮設住宅と一体的に整備された集会所に併設する可能性もある。仮設に入居していない人や介護を必要としない人も利用できる形態も検討する。

  ●高齢者宅を巡回

 災害関連死の防止に向けては、仮設住宅を巡回する見守り活動をスタートする。実施主体は各市町だが、対象者に対して見守る側の人員は不足が予想されるため、県が活動に必要な研修を行うなどして人材確保を後押しする。仮設だけでなく、一人暮らしの高齢者宅なども対象とする。

 頻度は月1~2回を目標とし、状況に応じて増やす。心身に不調の兆しが見られる被災者がいた場合は、精神科医ら専門家を派遣する。栄養管理を目的とした料理教室や歯科医による口腔ケア、介護予防の体操教室も実施する。

 ★災害関連死 地震による建物の倒壊や津波などが原因で亡くなる「直接死」とは別に、避難生活の疲労や環境変化のストレスなどから体調が悪化して亡くなり、災害が原因と認められるもの。石川県内では、少なくとも120人超の遺族が関連死として認定するよう申請しており、14日の合同審査会で30人が認定された。

© 株式会社北國新聞社