関西の国会議員から「米原論」 新幹線延伸で大阪、京都、滋賀

  ●小浜ルート見直しで連携

 北陸新幹線敦賀以西をめぐって、現行ルートの見直し論が国会内にも広がってきた。大阪を地盤とする日本維新の会・馬場伸幸代表(衆院大阪17区)は今月に入り、教育無償化を実現する会の前原誠司代表(衆院京都2区)と小浜ルートから米原ルートへの変更を目指す方針で一致。前滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員も両氏と同様の立場で連携を強める考えだ。16日、石川県議会では、富山、石川の重鎮県議が米原案実現へ共闘を確認。関西、北陸の両方面から「米原転換」の風がにわかに強まっている。

 「新幹線の大阪延伸は、お互いに『米原』の考え方で進めましょう」。7日、国会内で前原氏がこう呼び掛けると、馬場氏は大きくうなずいた。

 2人が代表を務める日本維新の会と教育無償化を実現する会は統一会派を組む間柄。トップの思いはそれぞれの所属議員にも伝わっており、15日に開かれた会派役員会では米原ルートへ転換を政府に訴えていくことを申し合わせたという。

 前原氏の地元である京都では、小浜ルートの建設にかかる地元負担や環境への影響を懸念し、反対運動が盛んに行われている。このため、前原氏は、早期延伸のためには課題の多い「小浜」から「米原」への切り替えが必要とみており、北國新聞社の取材に「これからは関西の議員の連携が重要になる」と語った。

  ●「敦賀止まり悲しい」

 維新は馬場氏を中心に、ルートの見直しに向けた話し合いを本格化させる。馬場氏は本社の取材に「このまま新幹線の『敦賀止まり』が長引けば、北陸は関西ではなく首都圏との交流が盛んになる。何ともセンチメンタル(残念)だ」と述べ、嘉田氏らと連携していく考えを強調した。

 ルート変更には「数の力」が必要と指摘する嘉田氏は、4月の衆院補選東京15区で維新候補の応援に入り、その合間を縫って馬場氏と面会した。関西広域連合がまとめたルート別の工期や費用などの試算結果を説明し、工費が小さく工期も短いとみられる米原の利点を売り込んだ。

 嘉田氏は「カギを握るのは元JR社員の三日月(大造滋賀県)知事。われわれは前原さんや馬場さんと声を上げ続け、仲間を増やしていく」と話した。

  ●知事は「小浜で早く」

 一方、三日月知事をはじめ、維新の共同代表である吉村洋文大阪府知事らは「京都(小浜)ルートで一日も早く」というのが共通認識だ。馳浩氏ら北陸三県の知事も従来のスタンスを崩していない。

 小浜と米原で意見が割れている現状を考慮してか、与党整備委員会メンバーの佐々木紀衆院議員は「維新がどうこうではなく、まずは現行ルートの調査結果を待つことが必要だ」と慎重に言葉を選んだ。

 22日には、都内で石川など沿線10都府県の北陸新幹線建設促進大会が開かれ、維新を含む与野党の国会議員が出席する。例年と同じく「小浜」を前提とした早期着工を求める決議がなされるとみられるが、掛け声だけで、ルート決定から7年以上たっても遅々として進まない現行ルートに、「実現不可能では」と懐疑の目を向ける沿線関係者が増えてきている。

馬場伸幸氏
前原誠司氏
嘉田由紀子氏

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