回転窓/水防月間に考える

雨のシーズンが近づいてきた。最も早い沖縄地方の場合、昨年の梅雨入り宣言は5月18日ころ。恵みの雨が待ち遠しい一方、局地的な豪雨も懸念される▼毎年5月(北海道は6月)は「水防月間」。水害から地域を守るために各地で訓練や啓発活動が展開される▼18日には、利根川沿線の水防関係団体が主催し、千葉県内で総合水防演習を実施する。千葉県建設業協会香取支部は道路啓開を、テックフォース(緊急災害対策派遣隊)らは氾濫水排除訓練などを実践さながらに繰り広げる▼水防演習は1935年に発生した利根川の大洪水を契機に始まった。戦争が進む中で中断されてしまうが、戦後47年にカスリーン台風が発生。利根川の堤防決壊により、埼玉県内から東京都内にかけて壊滅的な被害をもたらした。水防活動や訓練の重要性が再認識され今に至る▼気候変動の影響もあり自然災害が激甚化している。ハード・ソフト両面の備えとともに、技術と危機意識の継承が欠かせない。現在もブラジル南部やアフガニスタン各地で洪水が発生し、住民が被害に苦しんでいる。何ができるのかを自分事として考えていきたい。

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