中日本高速会社、大林組JV/東名多摩川橋更新工事で閉合式、先進的取り組みで注目

中日本高速道路会社と大林組・大林道路JVの2者は16日、東名高速道路の東京IC~東名川崎IC間に架かる東名多摩川橋(東京都世田谷区、川崎市多摩区)で進めている床版取り換え工事の閉合式を行った。大林組とトヨタ自動車未来創生センター(愛知県豊田市)が共同で開発した施工シミュレーター「GEN-VIR(ゲンバー)」を導入し、工事の効率化や安全性向上を図ることでも注目を集めている現場。式典には協力会社の作業員や、車線規制などに協力した神奈川県警担当者らも参加した。
同橋は1968年の開通。老朽化対策として2021年11月にリニューアル工事に着手した。橋長495メートル、幅員31メートルの片側3車線。施工は大林組・大林道路JVが担当している。
渋滞を最大限抑えるため、上り線から下り線にかけて部分的に交通規制を行って床版を架設する「分割断面床版取替」を採用。3機の移動床版仮設機を使い3班体制で施工しており、式典当日は2号機の最後の床版を設置した。1、3号機の最後の床版設置は22日を予定している。設置する床版には参加者が思い思いの落書きを描き、工事に参画した各自の記憶を閉じ込めた。
式典後の取材で中日本高速道路東京支社の花房秀樹更新工事担当専任課長は「新設ではなくリニューアル工事での閉合式は聞いたことがない。車線規制やゲンバーの導入など画期的な取り組みが多く、今後につながるモデル現場としての意義が高いことが開催の理由となる」と強調した。
トヨタ自動車未来創造センターの伊東裕司プロジェクトリーダーは「ゲンバーは使いながら、課題が明らかになるたびに解決してきた。まだまだ改良の余地もあるが、他の現場でも展開していきたい」と手応えを示した。
大林組JVの兼丸隆裕所長(大林組)は「ゲンバーの導入で効率化や安全性の向上が実感できた。3月末には無事故・無災害100万時間も達成している。閉合しても11月ごろまで関連工事などは続く。引き続き作業員の安全を守り無事故・無災害を継続する」と気を引き締めた。

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