能登半島地震/水産庁が漁業地域復旧・復興技術検討会の初会合、7月めどに方向性

水産庁は16日、能登半島地震漁業地域復旧・復興技術検討会の初会合を金沢市内で開いた。地盤隆起に伴って被災した漁港の仮復旧・本復旧のイメージを示し、被害に応じた方策、手順を技術的な観点から議論する方針を確認した。7月をめどに方向性をまとめ、被災漁港を管理する石川県や市町に復旧と復興の道しるべとして活用してもらう。
検討会は学識者と漁港漁場新技術研究会で構成。委員長に岡安章夫東京海洋大学副学長が就いた。
復旧は管理者の県や市町が地域の意向を踏まえて取り組むのを前提に、地盤隆起箇所の仮復旧と本復旧のイメージを複数示した。仮復旧は、応急的な仮桟橋や防波堤を活用した仮係留施設の設置、漁船航路の開削などを例示。本復旧は、浚渫や開削によって既存の漁港内に航路と泊地を設ける案や、沖に漁港を出す案、新設(移動)をイメージとした。対策の組み合わせを含め、仮復旧と本復旧に臨む管理者の選択肢の在り方を議論する。
検討会には地盤の堅さや漁船の規模、工期などに応じて柔軟に方策を選択するのが望ましいという見方がある。初会合では、防災拠点化や非常時の海上輸送への配慮を求める意見などが出た。地盤隆起箇所の設計や工事は、既存の技術基準類の応用で対応できると見ている。
初会合後、岡安委員長は「具体の漁港の計画には触れない」とした上で「地盤隆起という新しい課題の解決策を整理し、復旧復興を支援したい」と話した。水産庁の中村隆漁港漁場整備部計画課長は計画・設計・施工の技術的な知見を踏まえた議論に意欲を見せた。
検討の成果を県は「能登の水産関係港の復興に向けた協議会」が来春にまとめる復興方針に生かす。

© 日刊建設工業新聞社