社整審部会/今後の道路政策で緊急提言骨子案、ネットワーク計画再構築を

国土交通省の有識者会議は16日、能登半島地震を踏まえた今後の道路政策に関する緊急提言の骨子案を示した。能登半島の骨格となる道路ネットワーク計画の再構築や、道の駅の防災機能の強化などを盛り込んだ。被災自治体や業界団体の意見も取り入れながら、6月にも最終的な提言をまとめる。
同日に社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)道路分科会国土幹線道路部会(部会長=朝倉康夫東京工業大学名誉教授・神戸大学名誉教授)を東京・霞が関の省内で開いた。石川県内の自治体などに道路政策に関するヒアリングを実施し、提言に盛り込む内容を議論した。
ビデオメッセージを寄せた馳浩石川県知事は、輪島市や珠洲市などにつながる直轄国道や高規格道路が不足している現状を課題として指摘した。その上で、今後の復興や人口減少といった課題解決に向け「都市部である金沢と能登の移動を高速化することが重要だ」と主張。のと里山空港(輪島市)と能登半島の各市町村間を30分以内に移動できる広域道路ネットワークの構築を訴えた。
具体的には、輪島市と珠洲市を東西につなぐ「珠洲道路」の高規格道路への格上げや、金沢方面と能登方面を結ぶ「のと里山海道」の4車線化を提案した。道路ネットワークの強靱化を求める声は多く、茶谷義隆七尾市長も、能越自動車道の4車線化やミッシングリンクの解消を今後の課題に挙げた。
有識者会議では提言にこれら意見を反映し、今後の道路政策の方向性を示す。骨子案では各地域の復興方針に応じた道路ネットワーク計画の再構築や、能登半島を縦横につなぐ動線の強化の必要性を明記。道の駅の防災拠点としての機能強化など、能登半島だけでなく全国の道路政策に生かせる内容も盛り込んだ。
会合に参加した有識者からは「人材や財源が限られる中で、新たな道路の整備だけでなく、災害リスクに応じた機能強化を検討すべき」との意見が挙がった。「空港や港湾を含めた広い視野から交通ネットワークを構築すべき」との声もあった。

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