大阪府/土木インフラ包括管理委託の適用範囲拡大へ、次期長寿命化計画に反映

大阪府は複数のインフラ施設の維持管理業務を一括して複数年契約する「包括管理委託」について、土木事務所所管施設で適用範囲の拡大に取り組む。これまで一部土木事務所の道路保守・清掃を対象にしていたが、適用範囲の拡大を通じて受注者側のスケールメリットを高め、効率的・持続的な維持管理の実現を目指す。府の次期都市基盤施設長寿命化計画にも反映させる予定だ。
14日に開催した「大阪府都市基盤施設維持管理技術審議会」の第1回全体検討部会(会長・井上晋大阪工業大学教授)で方針を示した。府の土木事務所では池田土木事務所管内の道路の保守・清掃業務で包括管理委託を導入してきた。
老朽化したインフラが増加する一方、それを担う技術職員の減少に歯止めがかからない状況への危機感から、初会合では土木インフラの維持管理にも包括管理委託の適用範囲を広げる必要性が増しているという認識を改めて示した。
保守・清掃以外の調査や維持・修繕といった業務・工事への拡大や他の土木事務所への展開に加え、各地域の実情に応じたさまざまな方法を模索していく。
適用ケースを考える上では、国土交通省による地域のインフラ群を複数の自治体で維持管理する「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」の取り組みも参考にする。貝塚市など府内の自治体がモデル地域に選定されたことを踏まえ「受注者の保護育成の観点からも維持管理業務でスケールメリットを高めていくことが重要だ」とした。
府は土木職員の人手不足などを背景に、インフラ施設全体で包括管理委託の適用拡大に取り組んでいる。土木インフラ以外では昨年に茨木市の下水処理施設(中央水みらいセンター)で焼却炉施設などの設計・建設と維持管理業務を一体とした包括管理委託を実施した事例もある。長寿命化計画の改定なども見据え、今後も持続可能な維持管理の仕組みづくりについて議論を重ねていく。

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