朝にグレープフルーツを食べる人が知らない“意外なデメリット”

一気に夏に近づく季節になると、気になるのは肌の大敵“紫外線”。

5月から8月にかけて紫外線の量はピークを迎え、1日のなかでは、朝の10~4時ごろまでが最も強いといわれている。

室内にも紫外線は入ってくるので、日焼け止めを塗るのはもちろん、最近では「日焼けを予防する食べ物」を積極的に食べるようにして、体の内側から紫外線対策をするといった取り組みもさかんに行われている。

その一方で、最近ネットなどで気になる情報が注目を集めている。

「紫外線の吸収を高める食べ物」があるというのだ。

「一部の食べ物の中には紫外線の吸収を高める香り成分が存在しますので、これからの季節は食べ方に注意が必要です」

そう指摘するのは、管理栄養士、日本抗加齢医学会指導士で、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿伊勢丹で「女性総合診療ダイエット外来」を担当する前田あきこさん。

前田さんは、行動認知療法を取り入れた生活指導でこれまで2万人以上の女性の体質を改善してきた。これからの季節、相談が増えてくる一つが紫外線による“肌のトラブル”だという。

「紫外線を浴びると肌のバリア機能は弱まり、肌表面が乾燥する『光老化肌』になってしまいます。光老化肌は、刺激や光によって肌の深い部分に炎症が起きやすくなっている状態です。この炎症によってメラニン色素の生成が促されます。

メラニン色素が生成されやすい時期に、不十分な肌ケアや栄養補給が足りないなど肌の代謝サイクルが崩れてしまうと、メラニン色素を含んだ余分な角質が停滞して色素沈着を招き、シミやくすみの原因となってしまうのです」(前田さん、以下同)

肌の代謝サイクルが遅くなる中高年や、乾燥肌の人、日焼けの痕が残りやすい肌質の人は、光老化肌対策として紫外線に気をつけなければならない。そこで、問題になってくるのが“食べ物”だ。

■日焼けしやすい食材は「香り成分」が原因に

食材には「香りの成分」があり、種類は約40万種類もあるといわれている。そのうち数百~数千種類がそれぞれの食材特有の香りを形成しているという。それらのなかに、肌に付着すると紫外線の吸収を高める成分があり、それが「ソラレン」という物質だ。

「ソラレンはフロクマリン類というグループに属している香り成分で、光を蓄積するといった特徴があります。これが肌表面に付着すると肌表面に光が蓄積され、付着後およそ2時間後には肌内部で炎症が起きはじめ、メラニン色素の生成が促進されるという仕組みです。

調理や食事をしているときは、その食材の香り成分が常に空気中に漂っている状態です。たとえ顔や手に汁が直接つかなかったとしても、香り成分が漂う空間の中にいる限り、肌に付着する可能性はゼロではないので、日中は可能であれば食べるのを避けたほうがいいでしょう。もちろん、朝食後にシャワーを浴びる習慣がある場合や、夕方以降に食べる場合はまったく問題はありません」

■「ソラレン」を多く含む柑橘類とセリ科の食材

国内外の文献などによると、ソラレンを含む代表的な食材は柑橘類とセリ科の野菜。柑橘類のグレープフルーツ、ビターオレンジは皮や実の浅い部分に含まれるという。ほかにもベルガモットやかぼす、レモンやライムなど。セリ科の野菜であるパセリやセロリ、コリアンダーにも含まれているという。

「たとえば、ランチでセロリなどの野菜スティックを日の当たるテラス席で食べたりするのは要注意。レモンなどは食べるというよりも、搾ってサラダや飲み物に入れるといったことで活用するケースが多いでしょう。柑橘類は皮にあるつぶつぶした油胞がはじけて香り成分が飛び散るので、スライスしたり折り曲げて搾ったりする時点で皮から香り成分が飛んでいることになります」

ベルガモットを紅茶に、かぼすを魚になど、香りづけをする使い方も多いだろう。いずれも搾ったときに、香り成分が飛び散るので要注意だ。

また「アロマテラピー」も、柑橘系のアロマをたいているときには空気中にソラレンが漂うので、朝は部屋全体への芳香浴はやめておこう。

「ほかにも、昔、きゅうりのスライスやすりおろしたもので目のまわりにパックをするといった美容法がはやりました。きゅうりはウリ科ですが、皮に近いところにソラレンが含まれているため、肌の上にのせると紫外線の吸収を促してしまい、逆効果です。含まれている量は微量でも、日中は控えたほうがいいでしょう」

一方で、これらの食品には美肌効果のあるビタミンCも含まれているので、効果を最大限得るためには香り成分に触れた後の対策を徹底したい。日中外に出る前に、紫外線の吸収を高める食べ物に触れた際には、手や腕、顔を洗うこと。その後にUVケアの塗布や日よけをすれば安心だ。また、唐揚げや天ぷら定食などレモンを搾る食事も、紫外線を気にするのならランチではなく夕食にしたほうがいい。

■朝避けたほうがいいこと、積極的に取るといいもの

朝、ソラレンを含む食材をスムージーにして飲むのはいいが、包丁でカットするときにソラレンが飛び散るので、あまり細かくカットしないでミキサーに入れると、ソラレンが飛び散るのを少しは防げる。朝食べる果物や野菜は、ソラレンを含まない、抗酸化作用の強い物を選んで食べたいところ。

「ブルーベリーやチェリーなどは、強い抗酸化作用のあるポリフェノールの一種、アントシアニンを含んでいるのが特徴です。最強なのは、高い抗酸化力を発揮するリコピンが取れるトマト。ほうれん草、ブロッコリーなども、抗酸化力が高いビタミンCやビタミンEが豊富ですよ」

これから紫外線のピークがやってくる。知識をつけ、体の外からも中からも賢くUVケアをして、美肌をキープしよう。

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