兵庫県内で最も歴史の長い信金の取り組み 地場産業へのサポートや産学連携をいかした施策も

浴衣で窓口業務を行う様子(写真提供:姫路信用金庫)

兵庫県内に本店をおく11の信用金庫の中で、最古の歴史を持つのは、姫路市に本店をかまえる姫路信用金庫です。今年で114周年を迎えた同信金の歩みや取り組みについて、姫路信用金庫経営企画室の山川瀬奈さんと事業支援部の谷口雄祐さんに話を聞きました。

【写真】姫路信用金庫の取り組みより

姫路信用金庫は姫路商業会(姫路商工会議所)を母体として、「地元を元気にしたい」「地域に身近な金融機関を」という創業者の思いから1910(明治43)年に設立された、地域密着型の金融機関。現在は姫路市を中心に、西は赤穂支店から、東は六甲支店まで、県内に幅広く営業エリアを持っています。

これまでの預金・融資・為替という信用金庫の業務だけでなく、「お客様の課題解決支援にも積極的に取り組んでいる」と谷口さん。具体的には経営改善支援やライフプランの相談に対して、同信金が「お客さまの相談ごとや悩みごとについてともに考えていく」というもので、その名も『ともにプロジェクト』。

実を結んだ事例として、加古川市の地場産業である靴下製造業への事業計画書策定やオリジナルブランド設立時の支援サポートの取り組みがあります。この取り組みは、「2023ひょうご信用創生アワード」(主催:兵庫県地域支援金融会議)で最優秀賞を受賞しました。

一方、同信金は地元の子どもたちや学校とのつながりにも力を入れています。1989(平成元)年には創業80周年を記念して、地域の小学生から詩を募集し優秀な作品を表彰する「有本芳水賞」を設置。受賞された作品は毎年、地元のラジオ番組内で受賞作品の朗読が行われています。

2005(平成17)年には兵庫県立大学と兵庫県下で信用金庫とは初めてとなる産学連携協定を締結。同大学と共同で行う新製品・新技術などに関する研究開発や起業化(新事業創出)・活性化(新分野進出)のための開発事業に助成金を交付する「ひめしん研究開発支援助成金」制度を設け、2023(令和5)年度までに73社、総額2790万円を助成しているそうです。

近年は、社会課題解決、持続可能な取り組みにも積極的で、2021(令和3)年10月には「ひめしんSDGs宣言」を公表。保険会社と連携しSDGs宣言申請のサポートなどにも対応しているとのこと。

その他にも、姫路城マラソンや浴衣祭りなど地域イベントにも積極的に参加するなど、「地域交流を大切にしている」と山川さん。長らく地域に寄り添った信金の特長をいかしつつ、新たな活動にも注目です。

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