「受け身」な若手社員に自発的に動いてほしい…上司にできる最高の「やる気の引き出し方」とは【Z世代社長が助言】

「将来の目標がない」というZ世代も少なくありません。やる気のないように見える彼らですが、上司の適切な声かけによって自発的に動いてくれるようになります。どのような問いかけが効果的なのでしょうか。『Z世代の取扱説明書 Z世代社長が語るリアルな本音』(サンクチュアリ出版)より、自身もZ世代である、株式会社OMOCHI代表取締役である白附みくる氏が解説します。

Z世代は「受け身」の人が多い?

Z世代は「受け身」の人が多いと、一般的には言われています。わたしも、「たしかにそうかもな」と思うことがあります。自発的に動けない人は、何かしらのマインドブロックが原因で受け身になっているケースが多いように感じます。自分で考えて動いたのに「余計なことをするな」と言われてしまったことが原因で、自発的に動かなくなった人が少なからずいるのではないでしょうか。たとえば学校で、「お前、調子に乗るなよ」と言われたら、自分から動くことをためらうようになるかもしれません。

自分から率先して動く人は、実際にリーダー経験があるのではないでしょうか。そして、自ら動いたことでまわりから評価された成功体験があるから、その後も動き続けることができているはずです。

一方で、自分から動けない人は、たとえば「お前はリーダーには向いていない」と言われたり、リーダーを見て「難しそうだし、大変そうだ」と思ったり、自発的に動いている人から愚痴を聞いたりした経験から、「そこまでして自分から積極的に動くのは面倒だ……」と思っているのかもしれません。

こういった思いを抱いていると、マインドブロックがかかった状態に陥ってしまいます。たしかに、自分から率先して動くことで、できることの幅は広がるかもしれません。

ただ、わたしは「すべての人が自発的に動いたほうがいい」とは考えていないのです。

人には向き不向きがあります。ただ淡々と物事をこなす人の存在も必要ですし、続けていけることは、素晴らしいと思いませんか? とくにわたしは淡々と物事を持続させていくことができないタイプなので、できる人のことを率直に「すごいな」と思います。

自発的に動くよりも、言われたことを黙々とこなすほうが得意な人はいます。クリエイティブな仕事や企画、営業のような外交的な仕事に就いている人なら自発的に動いてほしいところですが、社内の人全員が自発的でなくても組織は成り立ちます。

各々に向いている仕事をしてもらえばいいのです。つらい思いをしながら、無理に自発的になろうとするほうが、ストレスがかかりますし、うまくいかないかもしれません。

ただ、自発的に動けない理由が、「自分の展望が見えない」「自分の仕事を増やしたくない」といったものなら、わたしは、「将来どうなりたいの?」「お給料を増やしたいと思わない?」といった投げかけをします。マイナスの理由ばかりでは、やはり成長が見込めないからです。

ですから、「将来どれくらい稼ぎたくて、どれくらいのお金を手元に置いておきたいのか」という、その人のゴール設計をきちんと聞いてあげましょう。女性なら、「結婚したら、寿退社したいです」と言う人もいれば、「結婚しても、スキルを身につけて自分でできるようになりたいです」と言う人もいます。

どう考えているのかは、聞いてみないとわからないものですから、定期的にZ世代の将来のゴールを尋ねてみてほしいのです。

若手社員に将来を思い描いてほしいときの関わり方

Z世代のメンバー本人が「将来はもっとお金を得たいし、クリエイティブな仕事をしていきたい」と思っているのに動けていないのなら、どこにブロックがあるのかを一緒に見つけて、改善してもらうことが大切です。

一方で、その人の将来の目的と合っていない場合は、向いている仕事をさせたほうがいいのではないでしょうか。実際、Z世代の人たちのなかには「将来の目標がない」という人も少なくありません。じつはわたしも、以前はまったく想像ができませんでした。

ところが、考えられなかったのは外的要因がとても多かったことを、最近になって気づいたのです。その外的要因は、「いまは仕事が忙しい」「これだけ仕事をしなければいけないから、無理だ」といったものです。

人の願望の根底には、「仕事をせずにお金がほしい」というものがあるとわたしは思っています。でも、好きなことだけをしていきたいとただ願っていても、それは無理なことですよね。FIRE(Financial Independence, Retire Early:早期リタイア)に向かってがんばっている人がたくさんいるのは、その証拠でしょう。

ただ、いますぐに好きなことだけできる生活は実現しませんよね。そこで、実現するにはどうすればいいか、かなり考えた結果、わたしは「いまできること」のなかで「したいこと」に目を向けるようになり、仕事以外何も思いつかなくなってしまったのです。ほしいものや欲も何もない状態です……。

もともとおいしいものを食べるのが大好きなのですが、おいしいと感じられるものなら何でもいいと思っていました。

ところが最近になって、素敵な方々と出会うなかで価値観が大きく変わりました。

とてもおいしいごはんを毎日食べたい。したことがない体験をもっとしたい。

わたしはそんな性格なのだと、いまになって気づいたのです。これからは、食事も旅行もアクティビティも、どんどん新しい体験をしたいと思っています。いい意味でも悪い意味でも、目の前のことにとらわれすぎて、自分を後回しにして、「本当にしたいこと」に気づけない。そんなわたしのようなZ世代が、とても多いのではないでしょうか。

できればそこをしっかりと汲みとってあげて、その人のしたいことを一緒に探してあげることができたら、相手はもっとコミットしてくれますし、関係がもっと深くなるはずです。

本当は夢があるのに、「自分には夢がない」と思い込んでいるZ世代も多いでしょう。でも、夢は持っているはずです。

「お金に困らず、一生好きなことだけをしていいよ。働かなくても毎日お金が入ってくるよ。こんな環境に置かれたら、何がしたい?」

と聞けば、出てくるのではないでしょうか。

相手の好きなことやしたいこと、将来の目標を一緒に考え、もっと自発的に動く理由をつくってあげられたらいいと思いませんか。わたしたちよりもずっと知識があり、経験豊富な先輩の方々とお互いに歩み寄り、そしてわたしの大切な姪っ子が大人になったとき、「いい時代にしてくれてありがとう」と言ってもらえたなら、本当にしあわせだと思うのです。

白附 みくる

株式会社OMOCHI代表取締役

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