吉沢亮がカブトムシの着ぐるみを… 漫画実写化作品でキャストを泣かせた“大変すぎる衣装”3選

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漫画原作の実写化映画ではやはり“再現度”が重要になってくるもの。そのなかで、キャラクターが身に纏う特徴的な“衣装”も、完全再現のためには欠かすことができない要素の一つだろう。

一方で、その衣装が特殊すぎて、なかには身に纏うだけでも大変すぎるものもある。そこで、とんでもない衣装によって思わぬ苦戦を強いられた俳優たちのエピソードについて見ていこう。

■イケメンと“カブトムシ”のシュールなコラボレーション…『銀魂』吉沢亮

2003年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された空知英秋さんの『銀魂』は、宇宙人たちに襲来された架空の江戸を舞台に、主人公・坂田銀時ら“万事屋”一同が繰り広げるドタバタ劇を描いたコメディ作品だ。

下ネタやパロディも飛び出す破天荒なギャグシーンだけでなく、登場人物たちの信念が激しくぶつかり合う熱くシリアスなバトルシーンが入り乱れるのも特徴で、その凄まじい人気からアニメ化はもちろん、2017年、2018年には実写版映画も公開されている。

なかでも2017年に公開された第1弾では、人気キャラクター・沖田総悟を演じた俳優の吉沢亮さんが、とんでもない“衣装”を身に纏った姿を披露している。

本作では原作でも人気の高いエピソード「カブト狩り」のワンシーンが再現されているのだが、吉沢さんはなんと沖田が原作版で身に着けていた“カブトムシの着ぐるみ”姿で登場。

精巧に作り上げられた着ぐるみとイケメンの吉沢さんの掛け合わせがなんともシュールなシーンなのだが、撮影時期が真夏だったため、着ぐるみのなかは凄まじい暑さになっていたという。さらに、着ぐるみの重さもかなりのものだったそうで、吉沢さんはこれを身に着けたまま全力疾走するなど、なかなかハードな演技を披露している。

しかもこの着ぐるみ、着脱にかなりの手間がかかるそうで、そのままの姿で待ち時間を過ごす場面もあったのだとか。見た目こそコミカルだが、なんとも演者泣かせの一着といえるかもしれない。

なかなか力仕事が多い役回りとなった吉沢さんだが、そのビジュアルや演技、持ち前のイケメンっぷりで見事に人気キャラクター・沖田を再現してみせている。作中で見せる沖田の涼しい顔とは裏腹に、暑さや重さに苦しめられた、なんともシュールなエピソードだろう。

■ボリューミーな衣装もさらりと着こなす天才軍師…『パリピ孔明』向井理

実写版のキャラクターを演じるうえで、衣装の重さやそれを身に纏った際の暑さに苦しめられる俳優は意外と多い。2019年に『コミックDAYS』(講談社)で連載が開始された『パリピ孔明』の実写版でも、俳優陣が“衣装”の思わぬ特徴に苦しめられることとなった。

本作は原作担当の四葉夕卜さんと漫画担当の小川亮さんが仕掛ける新感覚の転生漫画だ。『三国志』でお馴染みの天才軍師・諸葛孔明が現代の日本に転生し、シンガーソングライター・月見英子のプロデューサーとしてその卓越した采配を振るっていくというストーリー。

2023年に放送された実写版ドラマで、主人公である諸葛孔明を演じたのは俳優の向井理さんだ。

イケメンキャラを演じることも多い向井理さんだが、本作では長いひげや大きな帽子、豪華な着物を何重にも身に纏い、見事に天才軍師・諸葛孔明の姿を再現。三国志ファンならば誰しもがよく知る諸葛孔明の姿だが、やはりこの独特の姿を再現するためには陰ながらの苦労があったらしい。

やはりなんといっても、この衣装の特徴はそのボリュームだろう。全衣装を身に纏うと帽子が大きなこともあってその身長は210センチ近いものになり、重ね着をしていることから重さも相当なものなのだとか。

当然、通気性も確保できておらず、向井さんも“暑さ”に終始苦しめられることとなったようだ。

中国古来の衣装であるがゆえに、現代社会の衣服が持つような機能性がないという点は実際に着てみないとわからなかっただろう。独特の衣装に苦心しながらも、ドラマのなかで向井さんが演じる“天才軍師”の姿は必見だ。

■俳優本人が豪語! まるでいいことなんてない特殊スーツ…『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』藤原竜也

1994年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が開始された、和月伸宏さんの『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚-』は、明治に生きる伝説の人斬り・緋村剣心がさまざまな剣客たちと刃を交えていくバトル漫画だ。

2012年に公開された実写版映画は、主演の佐藤健さんをはじめとした豪華なキャストはもちろん、再現度の高さや観る者を圧倒する殺陣シーンの数々によって瞬く間に人気を集め、のちに『京都大火編』、『伝説の最期編』など、計5作が公開されている。

なかでも『京都大火編』以降に登場する剣心の宿敵・志々雄真実を演じた藤原竜也さんは、志々雄を再現したある“衣装”の特殊性に思いもよらぬ苦労を強いられることとなった。

志々雄といえば体中に大やけどを負った結果、全身を包帯でぐるぐる巻きにしたミイラのような姿が最大の特徴だが、実写版でもこのインパクト大な姿を完全再現。その驚くべき再現方法なのだが、なんと彼を演じる藤原さんの全身の“型”を取り、肉体にフィットする“全身スーツ”を作り上げてしまったというのだ。

このスーツ、着脱だけで1時間以上の時間がかかる点もさることながら、耳も聞こえづらい上に飲食もできず、はてはトイレまで行けないことから、さすがの藤原さんも閉口していたようだ。

当時のインタビューにて本人も「いいことなんて何にもないんです!」と豪語していたこの志々雄スーツだが、一方で身に纏うだけで自然と精神的なスイッチが入り、ある意味で志々雄になり切る良いきっかけにもなっていたという。

演技力はもちろん、あまりにも過酷な環境で役柄を演じ切った藤原さんの胆力にも脱帽してしまうエピソードだ。

“衣装”は原作のキャラクターを再現する上では外すことのできない重要な要素だが、一方で思いもよらぬデメリットも多く、予想外の苦労を強いられた俳優も多い。

独特の衣装を見事に着こなし、彼らが再現したキャラクターたちの雄姿を、ぜひご自身の目で確かめてみてほしい。

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