「長い間、働けたのは日本のおかげ」 訪日12回のニュージーランド男性が感謝 日本の食卓にキウイが浸透した理由とは

ゼスプリ インターナショナル グロワー・リレーションズ&コミュニケーション部門責任者のグレイン・アロースミスさん

果物全体の消費量が減少するなか、輸入量が右肩上がりの果物があります。ビタミンCや食物繊維が豊富なキウイフルーツです。ニュージーランド産のキウイフルーツを日本へ届けているゼスプリ インターナショナルで、グロワー・リレーションズ&コミュニケーション部門責任者を務めるグレイン・アロースミスさん。これまで12回の訪日経験があり、「日本人とは素晴らしいパートナーシップが結べる」と語ります。日本とキウイフルーツの関係とは、どのようなものなのでしょうか。

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「日本では栄養効果などの知識がきちんと行き渡っている」

「長い間、ゼスプリで働けたのは日本のおかげです」

勤続24年になるという、グレインさんはそう語ります。グレインさんが働くゼスプリ社の前身であるニュージーランド・キウイフルーツ・マーケティングボードは、価格競争を避けるために、ニュージーランドのキウイフルーツを一括して輸出する組織として1980年代に発足。2000年に法人化され、グレインさんはその頃に入社しました。

「日本はとても重要なマーケットです。ニュージーランドのキウイフルーツは、1970年代から輸出が始まり、日本は最初に輸出を始めた国のひとつでした」

日本はゼスプリのなかで、香港や台湾を含む中国圏に次いで2番目に多いキウイフルーツの輸出先です。総務省の家計調査によると、キウイフルーツの1世帯あたりの年間支出金額は、2013年が1005円、そして2023年が2043円と10年で約2倍に増加。売り上げが大幅に伸びています。

こうした急激な成長には、日本人がキウイフルーツの栄養効果に関心を持ち、理解があるからだとグレインさんはいいます。キウイフルーツの「栄養素充足率」※は、黄色い「ゼスプリ・サンゴールドキウイ」で15.9、緑色の定番「ゼスプリ・グリーンキウイ」で12.5と、イチゴの9.2やバナナの8.2と比べても断トツ。
※同じ量(100グラム)を食べたときに、ビタミンやミネラル、食物繊維などの17種類の栄養素が基準値に対してどのくらい含まれているかをインデックス化したもの

また、色によっても最も期待できる栄養効果の特徴がそれぞれ異なり、近年発売された果肉が赤くてやわらかい「ゼスプリ・ルビーレッドキウイ」には新たな特徴が。ルビーレッドキウイは5月中旬頃に今期の販売が終了するそうですが、アントシアニンが含まれ、強い抗酸化作用が期待できます。

「日本へは僕自身も何度も行き、お客様と会うなかで、日本では栄養効果などの知識がきちんと行き渡っていると感じました。ちなみに、日本はルビーレッドキウイを最初に紹介した国のひとつ。サンゴールドキウイのときのような人気が出ることを期待しています」

厳しい検査を経て、日本へと輸出されるキウイフルーツ

「素晴らしいパートナーになれると感じました」

グレインさんは訪日した際、クライアントや販売店をめぐり、実際の売り場を確認するそうです。また、ニュージーランドと日本の生産者同士をつなげる仕事もしています。日本で出回るキウイフルーツは、その大部分をニュージーランドからの輸入に頼っていますが、日本にもゼスプリキウイの生産者がいます。ゼスプリ社はそうした日本の生産者に対してもサポートを行っているのです。

「一緒に働いてみて、日本人は素晴らしいパートナーになれると感じました。プライベートでも日本人の友達がたくさんいますよ」

日本人の誠実な働き方や、フレンドリーさに感動したというグレインさん。これからも日本に対する研究を続けたいといいます。

「日本の市場は、本当においしいものにはお金をかけます。キウイフルーツ以外にも高価な果物がたくさん並んでいるので、私たちもそうなれるように、味の研鑽を重ねていきたいです」

ニュージーランドのキウイフルーツは、ゼスプリ社監督のもと、第三者機関を使って収穫前に完熟度をチェックしています。その検査をクリアできなければ収穫はできません。

また、パッキングではさまざまな機械と人の目で、大きさや形、傷を検査。このように、日本の消費者が求める完璧なキウイフルーツを出荷するため、さまざまな厳しい基準が設けられています。

日本とキウイフルーツの親密な関係の裏には、グレインさんのように日本人の特性を理解する人がおり、高品質なものを安定供給するためのたゆまぬ企業努力があったのですね。

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