ひどすぎないか『太宗 イ・バンウォン』、王妃はなぜ悲惨な日々を迎えたのか

テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『太宗 イ・バンウォン~龍の国~』は終盤となって、パク・ジニが扮する閔氏(ミンシ)が号泣する場面が連続していた。5月16日の第30話でも、閔氏の弟2人が過酷な拷問を受けていた。

最終的に閔氏の弟4人は、チュ・サンウクが演じる李芳遠(イ・バンウォン)によって自決させられた。高麗王朝の超名門だった閔氏一族はこうして完全に滅ぼされたのだ。閔氏から見れば、夫の李芳遠が「悪魔」に見えたかもしれない。

もともと、閔氏は李芳遠が国王になる時に最も貢献した妻であった。2人は夫婦仲も良く、子宝にも恵まれた。しかし、李芳遠が国王になってから2人の関係は急速に冷え切った。

史実を見ると、夫婦仲が悪くなった原因が女性問題だった。李芳遠が驚くほど多くの側室を抱えたのだ。その数は12人。そのように色に溺れていく夫を見て、閔氏は怒りを募らせた。本来なら、「国王の側室がいくら多くても王妃は目をつぶる」というのが美徳とされたが、閔氏はそういうタイプではなかった。感情を抑えることができなかったのだ。

さらに、彼女を激怒させることが起こった。李芳遠が外戚の政治力を極端に警戒して閔氏一族を目の敵にするようになったのだ。結果的に、罪を捏造されて閔氏の弟4人が命を奪われた。

「いくら大王として君臨しても、あまりにひどすぎる」

(写真提供=Monster Union)

目も当てられないほどの険悪な関係

歴史的な事実を知ると、そう感じる人が圧倒的に多いことだろう。確かに、李芳遠のやり方はあまりに非道だった。国王の座を守るためとはいえ、罪もない外戚を滅ぼす必要もなかったのだ。結局、李芳遠は誰も信じられない男だった。それゆえ、少しでも自分の脅威になると感じた相手をことごとく潰していった。そうした李芳遠のやり方で一番の被害を受けたのが閔氏であった。

『太宗 イ・バンウォン~龍の国~』の前半では、李芳遠と閔氏の仲睦まじい姿がひんぱんに見られた。しかし、終盤になると、両者は目も当てられないほど険悪な関係になってしまった。それは、見ていて辛いことだった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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