近くの高齢夫妻宅に朝方、救急隊員が駆け付けた。毎朝、散歩に出かけていた夫の姿が見えないため、隣人が心配して訪ねると、玄関先で倒れていたという。一緒に暮らしていた妻は体調を崩し、入院していた
▼隣人によると、発見が早かったことが幸いし、男性は一命を取り留めた。しばらくは入院が必要とのことだが、たとえ自宅に戻っても1人で生活するのは容易ではないだろう。丁寧に手入れされていた庭に雑草が目立つようになり、心が痛む
▼1人暮らしの人の「孤独死」が増えている。警察庁によると今年1~3月に、自宅で死亡した1人暮らしの人は全国で2万人を超えた。このうち8割近くが65歳以上で、高齢になるほど、孤独死は増える傾向にある
▼実家に1人で暮らす親の携帯電話に連絡しても応答がなく、病気で倒れたか、交通事故にでも遭っていないか―と心配したという話はよく聞く。なりすまし詐欺を警戒し、自宅の固定電話には出ない人も多いようだ
▼最近は実家の様子を常時スマホで確認できたり、体調に異変があると警備会社が駆け付けたりするサービスもある。親しい人が近くにいれば心強いが、誰もが孤独を感じず安心して生活できる社会にしたい。