憧れの存在は“元賞金女王” 22歳・永嶋花音が好発進「バタバタしないマネジメントを」

22歳・永嶋花音。飛躍のきっかけをつかめるか(撮影:GettyImages)

<ブリヂストンレディス 初日◇16日◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉県)◇6731ヤード・パー72>

22歳の永嶋花音が5バーディ・3ボギーの「70」をマーク。2アンダーの上々スタートを切った。プロ入りからの2年間はなかなか結果を残せなかったが、今年4月の下部ステップ・アップ・ツアー開幕戦で初優勝。これまで30位タイが最高成績のレギュラーツアーでも、一気に殻を破る活躍を見せる。

2番でバーディを先行させた永嶋だったが、8、10、11番と立て続けにボギーを叩き、2オーバーまでスコアを落とした。「後半に入っていきなり連続ボギーで、ちょっと気持ちが落ちちゃったんですけど、フルーツを食べたら落ち着きました」。用意していたキウイとリンゴでリフレッシュすると、12番パー3は8Iで1.5メートル、13番パー4は9Iで15センチにつけて、連続バーディと一気に巻き返した。

「きょうはショットもパットも全体的に良かった。特にアイアンが良かったと思います」。さらにバーディを1つ重ねて迎えた最終18番パー5でも、8Iで3メートルにつけてバーディフィニッシュ。切れ味鋭いアイアンショットが好スコアの一番の要因だった。

今オフは1月に1週間、2月に2週間、いずれもタイで合宿を行いトレーニングとショットの調整に努めてきた。「以前はかなりのドローを打っていたんですけど、今はフェード気味に変えていて、タイでもそれに取り組んでいました」。オフからの練習の成果はショットの精度という形で表れている。

東京出身だが、父親の仕事の関係で何度か引っ越しを経験。北海道でゴルフを始め、宮崎の強豪校・日章学園高で腕を磨いた。憧れの存在は高校入学の直前に知り合った大山志保。「ほぼ初対面だったんですけど、フェニックスの練習場で『練習中にすみません。バンカーショットを教えてください』ってお願いしました」。

すると、大山は自身の練習を中断し、1時間以上もバンカー練習に付き合ってくれたという。元賞金女王にこんな“神対応”を受ければ、憧れの気持ちが強くなるのも当然。現在は大山お手製のマーカーを愛用しており、ホールアウト後は「これは絶対になくせません。宝物です」と大切そうにポーチにしまい込んだ。

「プロになって、大きいことを口にした方がいいのかなと思って、実力もないのに1年目からレギュラーツアー優勝とか、夢みたいなことを言っていたんですけど。今はもっと現実的な目標を立てています」。今季開幕前に立てた目標はステップ・アップ・ツアー優勝。それはすでに達成済みだ。

初日の好スタートにも方針は変わらず「今週は難しいコースなので、寄せてお先のパーを取っていけるような、バタバタしないマネジメントをするのが目標です」。現実的な目標をクリアした先に、夢みたいな結果が待っているかもしれない。(文・田中宏治)

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