「人生初めて、これを最後にしたい(笑)」 西郷真央はウェイティングから“滑り込み”で2位発進

西郷真央の“なが~い一日”は2位という好結果に結びついた(撮影:ALBA)

<ミズホ・アメリカズオープン 初日◇16日◇リバティ・ナショナルGCニュージャージー州)◇6675ヤード・パー72>

ウェイティング1番手だった西郷真央の一日は朝6時に始まった。クラブハウスで待機していると、もしかしたら棄権者が出るかもしれない、という情報が入って7時過ぎにバタバタと準備を進める。7時半ころに一度10番ティに移動したが、結局その時は出られず。再び、待機の時間を過ごした。

そして朗報が届く。10時半ごろにキャロライン・マッソン(ドイツ)が体調不良によりスタート前に棄権。フィールドに入ることができた。

先週大会でトップ10に入れば出場権を得られたが、最終日に崩れて逃した。翌日の月曜日には2枠をかけたマンデートーナメントに出場したが、1打及ばず3位。火曜日、水曜日とソワソワしながら過ごした。「練習の気合が入らなかったり、試合の週じゃなかったので気持ちを入れるのはすごく難しかった。でも回れると信じて調整できた」。すったもんだのすえ午後0時5分に10番ティから競技を開始した。

いつもならば2時間前にコースに入り、30分のウォーミングアップ、そして1時間半の練習というルーティンがある。今回は朝に一度体を動かしたうえ、スタート前の準備は1時間半“しか”なかった。「練習するなら動き続けていたいタイプ。練習して休んでからもう一回動くのがどうなるか心配はあったけれど、なんとか回れた」。

心配もどこ吹く風。出だし5ホールで3バーディを奪った。15番では3パットのもったいないボギーを喫したが、これがこの日唯一の“△”。湾からの風が強く吹くなか、集中力を保ち続ける。風はグリーン上にも強く影響を与え、それは上りで逆目の5メートルがフォローの風によって1.5メートルもオーバーするほどだった。

そのなかでも6番では、あとわずかでチップインイーグルというショットからバーディを奪うと、7番は4メートルの上りフックラインを流し込んだ。「風がすんと止んでいて、いい流れで打てた」。結果5バーディ・1ボギーの「68」をマーク。4アンダーは首位と2打差の2位タイ発進だ。

コースを全く知らない状態で回ったマンデートーナメントでも、3アンダーをマークしている。「池に入れたり、ショートパットをトコトン外していた。調子が悪くないなかプレーができていて、コースの相性も悪くないかなと思っていた」。今季ワーストの「76」と崩れた日曜日にはショットの構えに気持ち悪さを感じていたが、それはすっきり解消されたようだ。

「ウェイティングから長い一日だった。人生初めて。もうこれを最後にしたいと思います(笑)」。ホールアウトしたのは午後4時50分すぎ。一息つきながら充実感とともにグリーンを降りた。「家に戻って、しっかりと体調を整えて、気持ちを切り替えて頑張ります」。2日目は全体トップの午前7時にスタートする。(文・笠井あかり)

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