歌やダンスで〝心のバリアフリー〟を 「オハイエくまもと」音楽祭が15回目 5月19日に熊本市内6カ所で

「オハイエ音楽隊」のメンバーら(提供写真)
「すてきな音楽を丸1日楽しんでほしい」と話す入部祥子理事長=熊本市中央区

 2010年に始まった障害のある人もない人も一緒に音楽を楽しむ「オハイエくまもと とっておきの音楽祭」が今年、15回目を迎える。19日に熊本市内6会場で開かれるが、主催するNPO法人オハイエくまもとの入部祥子理事長(76)は「障害のある人にとっては、年に1度の大きな発表の場。道行く人たちも一緒になって楽しんでほしい」と呼びかける。

 入部さんが、仙台市で開かれた同名音楽祭のドキュメンタリー映画「オハイエ」を見て、感銘を受けたことが開催のきっかけとなった。「街中で障害者が生き生きとしている姿が印象的だった。熊本でも同じものをやりたい」。仙台市を訪れて本番を視察。翌年には熊本で初めて開いた。

 音楽祭には、障害の有無にかかわらず、県内外の小学校や障害者施設などから個人やグループで参加。初回から出演する「オハイエ音楽隊」は熊本県内の障害のある人ら約40人で構成し、歌やダンス、楽器演奏もこなす。15年が過ぎてメンバーたちにも変化が表れてきたといい、入部さんは「いろんな人と接することで人間力がかなり高まったように感じる。今では私たちの方が手話やダンスを教えてもらっているくらい」と笑う。

 今回は合唱やダンス、バイオリンやサックス、二胡[にこ]などの74団体約400人が参加。映画のテーマソングを手がけたシンガー・ソングライターのあんべ光俊さんをはじめゲストも多数出演する。

 入部さんは「音楽の力で『心のバリアフリー』を目指している。この音楽会が普通の存在になることが最終目的」と話す。11月17日には、県立劇場で映画に出演したダウン症のリコーダー奏者荒川知子さんらを招いた記念コンサートを開く予定だ。

 音楽祭当日は午前10時15分から花畑広場でオープニング。午前11時~午後3時は下通や桜の馬場城彩苑など各会場でステージが繰り広げられ、午後4時からは花畑広場でフィナーレがある。(緒方李咲)

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