「働く」とは「生きる」とは ライター内間健友さん、一線で輝く人たちに尋ねて歩いた

13人にインタビューしたエピソードを語る内間健友さん=4月20日、ジュンク堂書店那覇店

38歳で退職 本で届けたかった気づきとは

 ライターの内間健友さんが出版した「14年勤めた会社をやめて“働く”“生きる”を聞いてきた。」(ボーダーインク)の発売記念トークイベントが4月20日、ジュンク堂書店那覇店で開催された。琉球新報社で記者職を中心に仕事を重ね、充実した日々を送っていたものの、2017年、38歳で「違う人生があるのではないか」と「人生最大の決断」で退職。その後各方面の一線で輝きながら仕事をする人々に「働く」「生きる」を尋ねて歩いたインタビュー書籍だ。「話を聞くことで自分でも気づきを得ながら、読者にもその気づきを届けたかった」と内間さん。“不惑の40歳”を前にした当時の自身の経験から、同じように人生に向き合い悩む人々の力になりたいという思いがあった。(ライター・長濱良起)

「14年勤めた会社をやめて“働く”“生きる”を聞いてきた。」(ボーダーインク)

一番重要なのは「自分がその道を選んだ」ということ

 書籍には13人分の半生が収められている。イベントには取材を受けた仲村秀一朗さん(元国連職員、現外交官)も登壇し、ボーダーインク編集者の喜納えりかさんが進行を務めた。

 「40歳手前で人生に迷うということをよく聞くんですが、自分もそうでした」と述懐した内間さん。

 ドラマーの中村亮さんへのインタビューでは、こんな言葉が心に刺さった。「自分にとっては、即興演奏も決められた演奏も違いはなくて、重要なのは『自分がその音を選んでいるかどうかということ』」。それを自分に置き換えてみた時に「どんな職業や会社、働き方でも正解不正解はなくて、一番重要なのは『自分がその道を選んだ』ということなんだな」と腑に落ちた。「仕事とか人生で活躍している方々にはやっぱりドラマがあって、必ず壁にぶつかってきている。それを乗り越える瞬間の話は、聞き手としてもエネルギーをもらえました」

イベントで登壇した(左から)内間健友さん、仲村秀一朗さん、喜納えりかさん

 仲村さんは「国際機関で働く」という目標に向かって、その条件でもある語学力、専門性、発展途上国での勤務経験の3点を着実に積み上げていった。「目標をかなえるためには、人生を一つのプロジェクトと思って、具体的に達成していくために時間を逆算して、今日一日は何をするべきかを明確にしていくことが必要だと思います」と真っすぐに語った。

 会場の30代男性が「10年間必死に会社に勤めているが、何か違うなと感じ始めています。自分の気持ちを満たす働き方は行動を重ねていけば見つかっていくのでしょうか」と質問した。同じく会場にいた、同書籍にも登場するバスケットボールの名将・安里幸男さんが飛び入りで回答。「『自分はいつかは死ぬ』と考えて、道に迷った時には、どっちがかっこいい生き方なのかで判断するようにしています。かっこいい道を選ぶんですよ。頑張れ!」とエールを送った。

 書籍でインタビューが掲載されているのは、以下の13人の沖縄県出身者(敬称略)。
 知念実希人(小説家)、金原亭杏寿(落語家)、安里幸男(バスケ指導者)、狩俣日姫(平和教育ファシリテーター)、玉城美香(ラジオパーソナリティー)、仲村秀一朗(元国連開発計画防災専門職員)、豊川明佳(大学教授)、比嘉栄昇(ミュージシャン)、金城拓真(海外起業家)、知念美加子(ファッションスタイリスト)、中村亮(ドラマー)、山城知佳子(映像作家)、内間政成(お笑い芸人)。それぞれ、インタビューを終えた内間さんの回顧録もある。

 5月25日にも同様のトークイベントがジュンク堂書店那覇店で開催される。ゲストは平和教育ファシリテーターの狩俣日姫さん。

 

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