【おんなの目】お告げを求めて

 私は、月に二回S町に出かける。その時、A神社の境内を通り抜ける。必ず詣で頭を垂れ手を合わせ祈る。何を祈るかはその時々によって違い、世界平和も願うが、たいていは己の欲望の成就を願ってしまう。物欲しげな願い事が多ければ祈りは長くなる。

 おみくじも引く。引いたそれは持ち帰る。現在溜まりに溜まって七十枚くらいある。小箱に入れてたまに引いて楽しむ。大吉、中吉、三割。小吉、末吉、二割、吉は一枚で凶はない。

 A神社のおみくじは、開くと“運勢”と太文字のゴシックで書かれていて、次に少し小さい文字でお告げが述べてある。これがいつも身に染む。唯一私に向けられたご託宣だと感じ入る。「多義的かつ暗示的で解釈の可能性が開かれている。(おみくじの歴史・平野多恵)」。信じない。神様は私の行動を見ていらしての上のご忠告だ。

 「妄想にふけったりせず堅実な道を一歩一歩踏みしめましょう」・「今の世の中では、犠牲心を持つことが大切です。善根を積みましょう」・「決断力が乏しく好機を逸する恐れがあります」・「だらしない生活をしていると将来の幸福を台無しにします。何事にも感謝すること」等々。これらが私へのいましめなのは確実だ。心をえぐる。神様ありがとうございました。これからも引きます。

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