南ア、イスラエルのラファ攻撃阻止を国際司法裁に請求

南アフリカは16日、国際司法裁判所(ICJ)に対し、イスラエルが計画しているパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファへの軍事攻撃を阻止するよう請求した。

イスラエルは17日に、これに回答する予定。

南アフリカはまた、ガザ地区への援助職員やジャーナリスト、調査員に対する「無制限のアクセス」を認めるよう、イスラエルに求めた。

南アフリカは今年1月にも、イスラエルがガザ地区でジェノサイド(集団虐殺)を行っているとして、ICJで訴訟を起こしている。イスラエルは、南アフリカの主張には「全く根拠がない」と、訴えを否定している。

国連や各国が民間人への多大なリスクを警告する中、イスラエルは10日前にラファにいるハマスへの攻撃を開始した。ラファには100万人以上のパレスチナ人が避難しているが、ラファへの攻撃が始まってからは60万人近くがラファを離れている。

南アフリカによるICJへの請求はこれで3件目となる。同国の与党は長年、パレスチナ人の大義に連帯を示している。

南アフリカは今回、イスラエルがラファを含むガザ各地で「ジェノサイド的な」作戦を行っていると非難し、「停止命令が必要だ」と主張した。

南アフリカのヴォーン・ロウ弁護士は、「恐ろしい犯罪や残虐行為の証拠が、文字通り破壊され、ブルドーザーで壊されている。その結果、これらの犯罪を犯した人々の罪が帳消しになり、正義が愚弄(ぐろう)されている」と述べた。

イスラエルは、ラファに残っているハマスの部隊を破壊し、同地区で捕らえられているとみられる残り130人のイスラエル人の人質を救出するのに、ラファでの作戦が必要だと主張している。

ICJは1月、イスラエルに対し、ガザ地区でのジェノサイドを防ぐためにあらゆる対策を講じるよう、暫定的に命じた。また、ガザ住民への援助を可能にする「即時かつ効果的な措置」をとるよう命じた。

ジョーン・ドノヒュー判事長は4月にBBCに対し、ICJはこれがジェノサイドに値するかをまだ決定していないが、南アフリカが主張するように、パレスチナ人にはジェノサイドから守られる権利があると判断したと説明した。

ICJがジェノサイドに関する判断を下すには数年かかるとみられる。ICJの命令には法的拘束力があるが、ICJには命令を強制執行する力はない。

昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲では、イスラエル側で約1200人が殺害され、252人が人質に取られた。イスラエルは直後にハマス壊滅を掲げてガザで軍事作戦を開始した。

ハマス運営のガザ保健省は、イスラエルの報復攻撃による同地区での死者は3万5270人に上るとしている。

(英語記事 South Africa seeks halt to Israel's Gaza offensive

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