ウクライナ・ハルキウ州の戦況、「困難だが制御下」とゼレンスキー氏 現地視察し軍幹部と面会

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は16日、ロシア軍の越境攻撃が続く北東部ハルキウ州を視察し、戦況は「極めて困難」だが「制御下にある」と述べた。ロシア軍はこの1年半で最大となる領土を奪取している。

ゼレンスキー大統領はロシア国境から30キロメートルほどのハルキウ市で軍の指導者と面会し、戦況について言及した。

ゼレンスキー氏は、ウクライナが「占領者に大きな損失を与えている」と、メッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。

「しかし、この地域は極めて困難な状況にある。我々は部隊を増強している」

ハルキウ州のオレフ・シネグボフ知事は、ウクライナは同地域の前線を「安定」させようとしており、ロシア軍の前進を部分的に食い止められていると述べた。

ロシア、「1年半で最大」の領土占領も「戦力不十分」の指摘

米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)のデータに基づくAFP通信の分析によると、ロシアは9日から15日にかけて、ウクライナの領土278平方キロメートルを占領した。

一つの作戦でロシアが獲得した領土としては2022年12月中旬以降で最大となる。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は15日、ロシア部隊は「すべての前線」で前進していると述べていた。

ロシア政府が、ウクライナ部隊をほかの紛争地域から配置転換させようとしているのではないかと指摘する軍事アナリストもいる。

一方、アメリカのクリストファー・カヴォリ北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官は16日、ロシアがウクライナで大躍進を遂げるには戦力が不十分だと指摘した。

カヴォリ氏は「私はウクライナの同僚と緊密に連絡を取り合っており、彼らが戦線を維持すると確信している」と述べたと、AFP通信は伝えた。

複数の前線で激しさを増すロシア軍の攻撃は、ウクライナ軍の戦況に影響を及ぼしている深刻な弾薬と人員の不足を浮き彫りにしている。

こうした中、プーチン氏は中国を訪れ、習近平国家主席と会談した。

中ロ首脳は「ウクライナ危機」と呼ぶウクライナでの戦闘の「政治的解決」を求めた。

(英語記事 Kharkiv fighting difficult but under control - Zelensky

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