篠原涼子・SixTONES森本・赤楚衛二が主演“コア視聴率1%台”「大コケ4月期ドラマ3作」は何がマズいのか

篠原涼子、森本慎太郎(SixTONES)、赤楚衛二 (C)ピンズバNEWS

5月17日、篠原涼子(50)とバカリズム(48)のダブル主演ドラマ『イップス』(フジテレビ系/金曜夜9時~)の第6話が放送される。

『イップス』は、何らかのきっかけでこれまでできていたことが突然できなくなる症状“イップス”に悩む小説家・黒羽ミコ(篠原)と刑事・森野徹(バカリズム)が協力して事件を解決する、視聴者には最初から犯人が分かっている“倒叙ミステリー”作品。

“最初から犯人が分かっている”という点が田村正和さん(享年78)主演、三谷幸喜氏(62)脚本の『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系/94~06年)を彷彿とさせることから期待の春ドラマとして注目されていて、第5話(10日放送)では篠原演じるミコが古畑のものまねをするシーンもあったが――。

「現在、テレビ界は13~49歳の個人視聴率・コア視聴率を最重要視していますが、『イップス』の第5話はコア1.4%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)と、非常に厳しい数字なんですよね……」(制作会社関係者=以下同)

『イップス』は“倒叙もの”というキャッチーさ、主演が実力派俳優の篠原、マルチな才能を持つバカリズムであること。そして脚本をバナナマンと親交が深く“第3のバナナマン”とも言われるなど芸人界、バラエティ界では絶大な信頼を置かれている作家・オークラ氏が担当と、面白そうな要素は多いが、何がマズいのか。

「主演2人のテンポの良い会話劇は面白いのですが、各事件が解決されるまでの流れがあまりにも淡々とし過ぎていて盛り上がりの山がない――そんな声が多いんです。『古畑任三郎』という、あまりにも偉大な作品と比べられるところもあり、それも非常にキツいですね。

でも『イップス』を見ているとやはり、いかに田村正和さんの演技と三谷幸喜さんの脚本が素晴らしかったかがわかります。面白すぎてどんどん引き込まれていく――『イップス』よりも『古畑』の再放送が見たくなってきますね……」

その『古畑任三郎』は5月24日からフジテレビの「ハッピーアワー」(月~金、第一部は後1時50~2時48分、第二部は後2時48~3時45分、関東ローカル)で放送されるのだが、制作会社関係者は続ける。

「実は、4月クールの連ドラは全体的に苦戦していて数字が落ち込んでいるんです。コア視聴率が1%台に落ち込んでしまったGP帯の連ドラは『イップス』だけではありません。経緯が経緯だけにやむを得ない感じもしますが、SixTONESの森本慎太郎さん(26)主演作『街並み照らすヤツら』(土曜夜10時~)も厳しい。第3話(5月11日)がコア1.2%でしたね」

■やはり突貫工事感がある『街並み照らすヤツら』

当初、日テレは4月期の「土ドラ10」枠は“小学館の漫画原作のドラマ”を放送する予定だった。一部ではムロツヨシ(48)が主演、西炯子氏原作の『たーたん』だったと報じられている。

しかし、このドラマが実現することはなかった。その理由は、23年10月期に同局が『セクシー田中さん』(小学館)を実写化した際の問題だった。最終回を目前に、原作者の芦原妃名子さん(享年50)と原作改変を巡るトラブルが勃発し、今年1月に芦原さんが逝去する事態に。日テレは2月22日に“小学館の漫画原作のドラマ”の制作見送りを発表し、3月21日に『街並み照らすヤツら』の制作を発表――という流れがあった。

「『街並み照らすヤツら』はベテラン枠に船越英一郎さん(63)がいたり、第3話から登場した伊藤健太郎さん(26)などキャスティングも頑張ってはいますが、分かりやすく数字が取れる大スター的な俳優が不在だったり、舞台がシャッター商店街でスケール感が小さかったりと、突貫でなんとか作った感も伝わってきていて……。ただ、主演の森本さんは若いファンが多いし、もう少しいけるのかなと思われましたが、数字は厳しいですね」

『街並み照らすヤツら』は、シャッター商店街の潰れかけのケーキ屋店主・竹野正義(森本)が保険金目当ての偽装強盗を企てたことで大騒動に発展していくという、笑いと絆のヒューマンエンターテインメント。偽装強盗がグダグダに終わるシーンや、アニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)のようなノリのナレーションなどシュールな演出も多く、

《テンポが悪すぎて見てられない。何を楽しみに見続ければいいのか最初に提示しないと視聴者はついて行かない》
《話がなかなか進まなくてイライラ。キャストはみんな演技上手いんだけどな》

といった厳しい声がネットにも寄せられている。

「『街並み照らすヤツら』は、やはりあまりにも時間が足りなかったんでしょうね。それで脚本が練られていないと……ここからなんとか巻き返してほしいですが。

そして、赤楚衛二さん(30)主演の『Re:リベンジー欲望の果てー』(フジテレビ系/木曜夜10時~)も放送前の期待度はとても高い作品でしたが、これも第5話(5月9日)でコア視聴率1.5%まで落ち込んでいるんですよね……」

■未熟な主人公が大不評

赤楚主演の『Re:リベンジ』は大病院の権力争いを描く作品。主人公のライバル役は“辞めジャニ”の錦戸亮(39)。錦戸が2019年9月末に旧ジャニーズを退所してから、初の地上波連ドラレギュラーであることが注目を集めていた。

「映画のような凝ったカメラワークは見応えがあるし、錦戸さん演じる心臓血管外科医・大友郁弥はミステリアスで頭の回転が速くて、非常に魅力的な敵役です。常に主人公・天堂海斗(赤楚)の一歩先を読んでいて、したたかに立ち回ったり、非常にキレ者。錦戸さんの雰囲気にも合っています。

そんな錦戸さん演じる敵役が人気であるのに対して、主人公の天堂の評判が悪いんですよね……」

【以下『Re:リベンジ』第7話予告までのネタバレを含みます】

当初は、青臭い主人公・海斗が権力争いを経て清濁併せ吞む逞しい男に成長していく――そんな展開を期待する声もあった。しかし、第5話になっても、感情的で浅はかな考えで動きまくる主人公に辟易してしまった視聴者も多く、

《ポンコツ坊っちゃんのまま何も成長したり学んだりしないのね。視野が狭くて鈍感。ダークヒーローといえるほどの魅力もなくて》
《世間知らずの・情熱だけで動く・まっすぐすぎる海斗の、『お坊ちゃん成長物語』として、見るしかねぇな》

といった厳しい声がXにも多く寄せられている。

その後も海斗は成長するどころか、大友に対するライバル心や環境の変化が要因となり視野がどんどん狭くなっていき、5月16日の第6話ラストは”大友が反対していた心臓病の子どもの手術を海斗が強行した結果、オペでトラブルが発生して命の危機に”という展開に。7話予告で”手術の成功”こそ確定しているが、術後経過中に問題が起きることも予告されている。

「もはや主人公を応援するのではなく、“暴走して取り返しのつかないことをする前に失脚してくれ”と、まさかの退場を期待する声の方が目立ち始めていますね。

『Re:リベンジ』不調の大きな要因は“主人公に魅力が乏しくて応援できない”こと。赤楚さんの熱血漢ぶり、それを受け流す錦戸さんのクールな演技はハマっているので、むしろ錦戸さんをダークヒーロー的な主人公、赤楚さんを正義感の強いけど未熟なライバルにした方が面白かったのでは、という声も聞こえてきています」

当初の期待は大きかったが、現状はそれを裏切る結果になってしまっている『イップス』、『街並み照らすヤツら』、『Re:リベンジ』。ここからの大逆転に期待したい。

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