「私ははめられたんです」しぶしぶ引き受けた同窓会幹事で、マウント女性との間に起きた“大波乱”

久々の人出でにぎわった2024年のゴールデンウイーク(GW)。中には、連休を利用した郷里でのクラス会に参加された方もいるのではないでしょうか?

「クラス会と聞くだけで気分が悪くなる」というのは高畑友里さん(仮名)。3年前に中学時代の同級生から30年ぶりに連絡をもらい懐かしさもあって幹事役を引き受けたのですが、同級生への連絡や会場選びでさんざん苦労した上、最後には自腹を切らされる“とんでも”結果になったそうです。

「たぶん、私ははめられたんです。幹事なんて絶対に引き受けない方がいいですよ」と自嘲気味に話す高畑さんに、3年前のやるせない体験について聞きました。

〈高畑友里さんプロフィール〉

東京都在住

53歳
女性
インテリアショップ勤務
建築士の夫、大学生の長女と3人家族
金融資産2500万円(世帯)

***

今思えば、ろくに考えもせずに安請け合いしたのがいけなかったのかもしれません。

2021年9月初旬にその電話がかかってきた時、見慣れない番号に最初は留守電対応しましたが、録音を聞くと中学時代の同級生の梓だったので、すぐにかけ直したのです。

私は高校卒業後に進学のために上京し、以来ずっと都内で暮らしています。梓と言葉を交わすのは成人式以来実に30年ぶりでした。受話器を通した梓の声は中学時代とほとんど変わりがなく、久しぶりだったこともあって、お互いのその後や近況の話でしばらく盛り上がりました。

同窓会幹事を依頼され、しぶしぶ引き受けることに

話の流れで梓から「コロナも落ち着いてきたし、10月に3組の皆でクラス会やろうって話が出ているんだけど、友里に幹事をお願いできないかな?」と申し出があった時は正直、「面倒くさいな」と思いました。

とはいえ梓にしてみればそれこそがわざわざ電話をかけてきた目的であり、すかさず、「友里はクラスの人気者だったし、友里が幹事だったら男子も女子も参加者が増えると思うんだよね。お願い!」とプッシュしてきました。

そこまで言われるとむげに断るわけにもいかず、「地元にいるわけじゃないし、大したことはできないかもしれないけれど、私で良ければ」と引き受けることにしたのです。

梓はその時こそ「私は地元組だから、できる限りサポートするよ」と言ってくれましたが、後で思えば単なるリップサービスに過ぎませんでした。

同級生への連絡にもひと苦労

梓の電話の翌日、前の幹事だったという水野君から3組のメンバーの連絡先が送られてきました。3組は男女合わせて39人でした。しかし、リストを精査すると、連絡先が分かっているのは半数にも満たない15人程度です。

水野君に、「連絡先が分からない人にも当たった方がいいのかな?」とメールを送ると、「そうしてもらえると助かる」という返信が戻ってきました。

そこからがひと苦労でした。全く心当たりがない同級生は実家に直接電話をかけましたが、「中学校で同級生だった者です」と言って連絡先を教えてもらえたのは10件足らず。中には、認知機能に問題がある親が出てきて全く話が通じないケースもあれば、とうの昔に引っ越していて、別人の電話番号になっていたケースもありました。

まさに「労多くして功少なし」で、「私の貴重な時間と電話代を返してよ」という思いでした。

マウント気質の同級生とのトラブル

それ以上に厄介だったのが会場選びです。

実家に帰るのは年2回、盆と正月くらいで地元の事情に詳しくなかったため、梓に問い合わせたら、「飲食店情報は香織が詳しいから、香織に聞いてみるといいよ」と香織の連絡先が送られてきました。

香織は地元で幅を利かせている建設会社の娘で、中学時代はクラスの女王様的な存在でした。私はなまじ成績が良かったせいで香織から敵視され、何度も嫌がらせをされたり、陰口をたたかれたりしました。

そんな経緯もあって香織に連絡するのは気が引けましたが、時間も迫っているし万一予約が取れなかったら大変なことになるとしぶしぶ受話器を取りました。

香織は相変わらずの女王様気質で、久しぶりに話をしても言葉の端々にマウントを取ってやろうという意識が見え隠れし、何とも嫌な気分になりました。

それでも私がひたすら下手に出たのが奏功したのか、20~30人が参加できそうな会場候補を幾つか紹介してくれることになりました。

翌日にはお店のリストを送ってくれたのですが、店名と電話番号だけのシンプルなもの。仕方なく一軒一軒ネットで情報を拾ってコストや使い勝手のよさで優先順位をつけました。念のため、香織にも意見を聞こうと更新したリストを送ると、いきなり電話がかかってきて、私が優先順位を高くしたお店にケチをつけ始めました。

「じゃあ、香織はどこがいいと思うの?」と尋ねると、「考え直してリストを送る」と返されました。なのに、それから1週間待っても何の音沙汰もありません。

何度かメールで催促したり電話をかけたりしたのですが返事がなかったので、やむなく自力で店探しをして、なんとか予約までこぎつけました。

その時点で既に9月下旬。慌てて一斉メールで同窓会の通知を送ると、突然、香織から電話がかかってきました。

「あんた、何勝手なことしてんのよ! 店は私が決めて予約までしてやったのに」

いきなり怒鳴りつけられても、「は?」という感じです。「そもそも、決まったのなら私にまず連絡するのが筋では?」という言葉をぐっとのみ込みました。

香織の顔を立てて香織が予約したイタリアンレストランを利用することにし、お店と交渉して当日は参加者20人分の料理にフリードリンクで1人1万円の価格設定でお願いすることになりました。

リスケをした後、参加予定者にはクラス会の通知を送り直しました。慣れない幹事役でしたが「ここまでくれば」とほっと胸をなでおろしました。

しかし、最大のトラブルは実はその後、クラス会当日に待ち受けていたのです。

●苦労してなんとかクラス会開催にこぎつけた友里さん。ところが当日に最大の修羅場を迎えます。後編【苦労して開いた同窓会が“大修羅場”に…すべての負担を押し付けられた幹事女性の「怒りと後悔」】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

森田 聡子/金融ライター/編集者

日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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