2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンも実践!〈高配当〉と〈株価成長〉を両取りできる「欲張り株」の見つけ方

(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資で得られる利益は大きく2種類で、株価上昇で狙える「値上がり益」と、保有している限りずっと受け取ることができる「配当」です。両者のどちらを目的に投資するかで、狙う銘柄も利益水準も異なりますが、なかにはその両方を狙える「欲張り株」が存在するようです。本記事では『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株 2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンの投資術』(KADOKAWA)から、著者の〈かぶカブキ氏〉が、そんな「欲張り株」の見つけ方について、解説します。

値上がり益と配当は、どちらを狙うべきか

株式投資では、大きく分けて2種類の利益が狙えます。ひとつは、株価の上昇で狙える値上がり益です。そして、もうひとつの利益は、配当です。数%ではありますが、保有している限りずっと受け取り続けることができる利益です。

近年はFIREというキーワードが注目されました。Financial Independence, Retire Earlyの頭文字を取ったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味します。あくせくと働かなくても済むだけの資金や収入源を用意して、経済的な心配のない自由な生活を目指すものです。

そのFIRE後の収入源として、高配当株投資が注目されています。確かに、毎年安定した配当金収入を得られれば、まさに不労所得となるわけですから、憧れる人も多いのは理解できます。

また、高い配当金が得られる高配当銘柄というのは、一般的に業績が安定した大企業が多いので株価も安定しており、比較的安心して長期保有を続けられるという点もメリットです。

株式投資をする際は、目的が値上がり益か配当かで、狙う銘柄は大きく異なりますし、得られる利益の水準も異なります。

僕の場合は元手が100万円ほどしかなかったので、配当狙いの投資は最初から眼中にありませんでした。老後にお金があっても遅い、せめて3~4年後には何倍かになっていてほしいと思い、値上がり益狙いの一択でした。

なにしろ、100万円で配当利回りが5%の株を買ったとしても、配当収入は年間5万円です。年間で5万円の収入増があってもそれで人生が変わることはありませんし、そもそも100万円で株を買えば、5万円ぐらいの値上がりや値下がりは普通に毎日のようにあります。

僕のように資金が少ない人や、早く資金を増やしたいと考える人なら、まずは値上がり益を狙う投資でお金を増やすことを優先するほうが効率的です。

ただ、大きな値上がりを期待できる銘柄の中でも、魅力的な配当を出すものもあります。100万円を200万円、400万円、800万円と倍々で増やしていく過程で、おまけとして配当がくっついてくることがあるのです。値上がり益しか眼中になかったところに、何万、何十万という配当収入が入ってくるのは、実際とても気分が良いものです。

僕の投資は、まずは値上がり益を狙うことが基本にはなりますが、そこに高配当を上乗せし、両取りすることは十分可能です。

高配当と株価成長を両取りする方法

配当利回りが高い銘柄は総じて、成長期待が小さい傾向にあるので、値上がり益を狙うことを考えると高配当株はターゲットにならないことが多いのですが、例外がないわけではありません。

現実に高配当株の株価が急成長し、それに伴い配当の額も増えて(増配)、キャピタルゲインとインカムゲインでウハウハになる例はあります。

実は高配当銘柄の中から、成長銘柄を探すのは意外と簡単です。高配当業種の中から銘柄発掘のプロセスを実行し、ビッグチェンジを探せばいいのです。

そのプロセスとは、「決算短信を見て、増収増益を確認する」「決算短信のコメント欄で、増収増益の理由や背景を確認する」「前四半期比(QonQ)での推移を確認する」の3STEPです。数としては多くはないため投資チャンスは減るものの、難易度としては決して高くはありません(※)。

※詳しくは「50倍の大化け株」はどう見つける?元証券マンも実践した「ビッグチェンジ」な企業の見極め方」で解説。

高配当銘柄の多くは、景気敏感業種(シクリカル系)です。具体的には、半導体、化学、非鉄、電気、輸送用機器、銀行、不動産、鉄鋼、機械、精密、商社、証券などの業種です。これらの業種に属する企業は、概して配当利回りが高い傾向にあります。

なぜ景気敏感株の配当利回りが高いかというと、景気敏感株は景気によって業績が左右されやすいうえに、成長性自体が低い業態だからです。成長力が低いということは、どんどん人員を採用して増やしたり、業績拡大のために設備投資や広告を打ったりする必要性がないので、その分配当に回せる原資が大きいということにもなります。将来の成長期待に乏しいので、PERも低く、割安な傾向もあります。

一般的な傾向としては、景気敏感業種には大企業が多く、株価の上昇期待が大きい成長株は企業規模が小さいのですが、すべてがそれにあてはまるわけではありません。

たとえば、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは誰もが認める大型株ではありますが、いまだに成長を続けるグロース株です。配当利回りは1%にも満たない水準で、100倍をゆうに超える高いPERが市場の成長期待の大きさを物語っています。

同社は常に新しいアトラクションのプランを発表し、実際に大規模な投資を継続しています。まだまだ成長を継続している企業なので、配当を増やすような余力はないのです。同社の社員数を見ても、年々増加しているのがわかります。

[図表1]オリエンタルランドの連結社員数

一方景気敏感業種はといえば、そんなに急激に人員を増やすようなことはありません。

たとえば日本郵船は、社員数が増えていません。投資するといっても、船を増やしたり、社員のボーナスを増やしたりする程度で、毎年利益を圧迫するほどの大規模な投資を続けて高成長を志向しているわけではないので、余った利益は株主にたっぷり配当できるのです。

[図表2]日本郵船(日本郵船含む連結ベース)の社員数

こうした安定的で低成長のはずの企業でも、なんらかの影響で業績が劇的に向上するようなことが、まれではありますが起こります。そうなると、株価は急激に上昇するうえ、配当の原資となる利益も膨れ上がります。

こういった景気敏感業種が急激に業績を伸ばすビッグチェンジは、まさに「株価成長×高配当」の両取りができるので、狙ってみる価値は十分あるでしょう。

かぶカブキ

元証券マンの個人投資家

※本記事は『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株 2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンの投資術』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

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