「バスジャック」想定、初訓練 化学剤への初動措置も 川崎市中原区

犯人を取り囲む中原署の署員

バスジャックを想定した訓練が5月9日、東急バス高津営業所で行われた。中原警察署、神奈川県警、NBCテロ対応専門部隊の連携で行われるのは初。人質救出と乗客の避難、犯人を確保するまでの流れを確認した。

「走行中のバス内において、不審者がナイフと液体のようなものを持ってバスがジャックされている」ことを想定し行われた訓練。バスの乗客がSOSボタンを押し、異常を察した通行人が110番通報。中原警察署からパトカーで署員が駆け付けると、停車したバスから人質を取った犯人が車外に。その隙を見て、非常口から乗客と運転手が脱出した。署員4人で犯人を説得して取り押さえ、人質1人を救出するまで約15分。参加者らは本番さながらの真剣な表情で取り組んでいた。

犯人の確保後、テロ対応専門部隊が出動し車内に残った不審な液体を回収。検知器でサリンと特定し、迅速に対応に当たった。最後に、除染班が現場の化学剤を除去して安全を確認した。

テロ犯罪を未然に

停車中の車両を使い、関係機関から35人が訓練に参加した。実践に則った内容で犯罪時の対応能力の向上を図った。市制100周年を迎え、区内では等々力緑地を会場に緑化フェアなどの多く人が集まるイベントを控える。中原署の佐藤智宏署長は「テロのようなことが管轄区内で起きる恐れもある。関係機関が普段から力を合わせ、地域犯罪防止の底上げに努めたい」と話した。

液体を調べるテロ対応専門部隊

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