【インタビュー】ミュージカル版『無伴奏ソナタ-The Musical-』に平間壮一、大東立樹が参加

演劇集団キャラメルボックスの代表作で、過去三度の上演を重ねる人気作『無伴奏ソナタ』。その6年ぶりの上演が決定、キャストを一新しミュージカル版として甦る。子供時代の適性検査により、将来の職業を決定づけられる世界。そこで音楽の天才＝メイカーとなったクリスチャンは、森の中でひとり、作曲に明け暮れる日々を送っていたのだが……。本格的な稽古開始を前に、クリスチャン役の平間壮一、ギレルモ役の大東立樹に話を訊いた。

――音楽の天才であるクリスチャンを平間さんが、そのクリスチャンに大きな影響を与えるギレルモを大東さんが演じられます。それぞれの人物像について、現段階ではどのように捉えていますか？

平間クリスチャンって30歳にしてはすごくピュアで、それが違和感というか、大人なのに子供過ぎるところがあると思うんです。それについて過去三度クリスチャン役をやられた多田（直人）さんに聞いてみると、映画の『アマデウス』を参考にされたそうで。自分もモーツァルト役を演じた時に参考にした映画だったので、なるほどな、と。あと自分なりの解釈としては、確かにクリスチャンは適性検査で作曲家であるメイカーに向いていると判断されたわけですが、本人がやりたかったどうかはわからないと思ったんです。だからもうちょっとやらされている感というか、無の状態から入って、他の音楽を聴いた時に初めて心を知る。そんな作り方が出来たらいいなと思っています。

大東ギレルモはとにかく明るい、“陽”の象徴のような人物ですよね。全体を通して見るとダークな作品ではありますが、キャラメルボックスでの公演映像を拝見しても、ギレルモ役の方はそういったキャラクターを作り上げられていて。すごく素敵だなと思うのと同時に、それをそのまま追うのではなく、僕は僕なりのキャラクターを作っていけたらなと。また今回、初めてギターにも挑戦します。絶賛練習中で、ペースとしては順調だと思いますが、まだまだお客様にお聞かせ出来る演奏ではなく……。本番までにしっかり仕上げていきたいと思います。

――クリスチャンにとってのギレルモ、またギレルモにとってのクリスチャンとは、どういった存在だったと思いますか？

平間クリスチャンにとってはポンと背中を押されたというか、「やっぱり音楽やりたいよね」って気持ちの面でひとつ乗せられてしまった人物だと思います。そうなるともうクリスチャンとしては、どうしようもなく突き動かされてしまうので。

大東そこにどう僕が持っていくのか、それがひとつ大きなカギかなと思っています。というのもやっぱりギレルモは、クリスチャンに運命的なものを感じていたと思うので。音楽を通した、人と人との繋がりとしての運命を。だからこそ最初からクリスチャンのことを意識していますし、強い気持ちを持って接しているんですよね。

平間確かに。逆にある人物は、当初クリスチャンに対して好感を持っていたにも関わらず、自分の意図しない方へと物事が進んでしまったことで、最悪な結果を招いてしまうことになる。そういったシーンを見ると、やっぱり一番残酷で、エグくて、そして面白いのは、人間の心理だなと思いますね。

――演劇集団キャラメルボックスで過去三度にわたり上演されてきた『無伴奏ソナタ』ですが、今回初めてミュージカル化されます。ミュージカルで表現することの面白さ、また難しさとは？

平間ミュージカルってどんどん進んでいっちゃうんですよね。ストレートプレイの場合は自分の間で、少しずつギアを上げていけますが、ミュージカルは一度音楽が始まってしまったらどんどん先にいってしまう。そこは難しいなと。ただやっぱり音楽の与える力ってすごいですから。お客さんが個々で想像していたものがより形になりやすいというか、作品としてよりわかりやすいものになるんじゃないかと思います。

大東僕は、ミュージカルのほうが得意なタイプだと思います。というのもこれが自分のお芝居だって誇れるほどの実力がまだないので、音楽に乗せてもらうことで一気に気持ちを上げていけるんです。