肥満や高血糖で健康寿命失うリスク、世界的に増大=研究

Jennifer Rigby

[ロンドン 16日 ロイター] - 医学誌ランセットに16日掲載された2021年の「世界疾病負担」(GBD)研究で、肥満、高血糖、高血圧などの代謝関連の問題により、病気や早死によって失われる健康寿命の年数が2000年比でほぼ50%以上増加していることが分かった。

同期間に、発育阻害や消耗症といった母子の栄養不足に関連する要因で失われた年数は71.5%減少した。

GBDは204の国と地域からのデータに基づき、疾病と早期死亡の世界的な主要要因を特定している。

2000年と2021年両方のデータで大気汚染が最大のリスク要因だったが、著者らは、人口の高齢化とライフスタイルの変容に伴い、世界的な健康問題が明らかに変化していると指摘した。

また結果が一様でない点にも目を向けており、サハラ砂漠以南のアフリカでは依然として栄養不足が主要なリスク要因だった。

一方で世界の15─49歳の人々の不健康はますます、糖尿病発症の2つの危険因子である高いボディマス指数(BMI)と高血糖に起因するようになっている。

研究を主導したワシントン大学医学部の保健指標評価研究所(IHME)で主任研究員を務めるリアン・オング氏は「気候変動、肥満や依存症の増加などの要因により、将来の動向はこれまでの動向とかなり異なる可能性がある」との見方を示した。

GBDの付随研究は、50年までに平均寿命が73.6歳から4.5歳延びて78.1歳になると予想している。

ただ最も寿命が延びると考えられるのは既存の推定値が低い国々であるため、世界的に見れば寿命は収束し始めていることを意味するという。

研究はまた、寿命が延びる半面、人々が不健康な状態で過ごす年数も長くなるだろうとの見通しも明らかにした。

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