カメラグランプリ2024受賞製品決定! 大賞・レンズ賞ともあなたが選ぶベストカメラ賞/レンズ賞とW受賞

By 柴田 誠

40周年目を迎えた「カメラグランプリ2024」(主催 : カメラ記者クラブ) の受賞機種が決定した。

■大賞・レンズ賞とも、あなたが選ぶベストカメラ賞/レンズ賞とダブル受賞

大賞に選ばれたのは「ソニー α9 III」。また、レンズ賞にはニコンの「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」が選ばれた。「ソニー α9 III」は、ユーザーの投票によって選出される「あなたが選ぶベストカメラ賞」も受賞。また「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」もカメラグランプリ40周年を記念して制定された「あなたが選ぶベストレンズ賞」に選ばれ、同賞の初代受賞機種となった。

「カメラグランプリ2024」は、総勢47名の選考委員によって、2023年4月から2024年3月までの1年間に発売されたカメラ・レンズの中から、最も優れた機種を選出して表彰する。今回は大賞、レンズ賞ともに選考委員とユーザーが同じ機種を選ぶという珍しい結果となった。

カメラグランプリ2024 大賞 上位5機種の得点結果
ソニー α9 III : 307点
ニコン Z 8 : 126点
ニコン Z f : 49点
富士フイルム X100VI : 38点
キヤノン EOS R8 : 37点

カメラグランプリ2024 レンズ賞 上位5機種の得点結果
ニコン NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena : 169点
ソニー FE 300mm F2.8 GM OSS : 92点
キヤノン RF10-20mm F4 L IS STM : 65点
シグマ 500mm F5.6 DG DN OS | Sports : 58点
パナソニック LUMIX S 100mm F2.8 MACRO : 53点

カメラ記者クラブのメンバーが「先進性・話題性・大衆性」の観点で選ぶカメラ記者クラブ賞には、企画賞として「富士フイルム INSTAX Pal」「DJI Osmo Pocket 3」を選出。技術賞には「ニコン Z 8」の「オートキャプチャー機能」、功労賞には40年にわたってカメラザックの製造を続け、多くのプロ写真家をはじめ山岳・風景写真愛好家を中心に熱烈に支持されながらも2023年8月に事業を終了したカメラザックメーカーのラムダを選び表彰することを決定した。

カメラグランプリ2024 大賞

ソニー α9 III

選考理由
これまで理想とされてきたグローバルシャッター方式をいち早く採用したミラーレスカメラ。画面内の全画素を同時に露光できるようになったことで、従来の電子シャッター撮影で発生していた動体の歪みを排除。決定的な瞬間を捉えるスポーツや野生動物の撮影に最適な1台として多くの票が集まった。フラッシュ撮影も1/80000秒まで全速同調可能となったほか、同社初のプリ連写にも対応。写真表現の可能性を広げる技術的革新であり、今後の普及機クラスへの展開を期待する声もあった。加えて、従来機種からの大型化を最小限に抑えつつ細部形状をリファインし、道具としての使いやすさに手が加えられた点も評価が高かった。

カメラグランプリ2024 レンズ賞

ニコン NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena

選考理由
画面周辺部まで口径食を感じさせない丸ボケを保った描写を「Plena」(プレナ) という固有名称で表現。ボケの美しさだけでなく、ピント面のシャープさと立体感も併せ持つ点が、多くの選考委員に評価された。Plenaは「空間が満たされている」という意味のラテン語 Plenumに由来するが、この描写特性をデジタル補正に頼らず実現した設計者の哲学やこだわり、ファインダーを覗いただけで感動したという撮影体験から、“心まで満たされた” とのコメントも寄せられた。

カメラグランプリ2024 あなたが選ぶベストカメラ賞

ソニー α9 III

投票理由
投票時のコメントでは「世界初のグローバルシャッター搭載ミラーレス機で新しい歴史を作ったカメラ」「フラッシュ同調速が、もはや異次元レベル」「今まで不可能だったものが撮影できる」「カメラの次の世界を切り拓いた」「グローバルシャッターをいち早く民生品に取り入れたこと。その割に価格が極端に高額になっていないことも評価に値すると考えます」「ミラーレスの新たな時代に入った画期的なカメラ」「従来のカメラとは全く異なるシャッター形式を取り入れ、写真の未来を変革する機種となると思ったから」といった声が寄せられた。

カメラグランプリ2024 あなたが選ぶベストレンズ賞

ニコン NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena

投票理由
投票時のコメントでは「圧倒的、玉ボケが美しい」「メーカーの担当者 (技術者) が、とことん描写とボケに拘って作ったことが伝わる」「並ぶものの無い描写力」「高い光学性能を盛り込んだレンズ。開放での口径食の少なさ、色収差の少なさなどの光学性能の高さはグランリにふさわしい」「使ってみて、ただただ驚いた」「玉ぼけの美しさが際立っている。このレンズを使いたいのでミラーレスに変える気になった」「写真を撮った時に、腕が上がったように感じさせる優れものレンズだから」といった声が寄せられた。

カメラグランプリ2024 カメラ記者クラブ賞

【企画賞】富士フイルム INSTAX Pal

選考理由
「チェキ」(INSTAX) シリーズで最小となる手のひらサイズのデジタルカメラ。別売のチェキプリンターと接続してチェキプリントを行うだけでなく、スマートフォンアプリとの連携により、チェキプリント風のフレーム付き画像をSNSにシェアしたり、リモート撮影やオリジナルシャッター音の録音も可能。1万円台という手頃な価格で、若者を中心とした新規層にアピールする楽しさを盛り込んだ斬新なパッケージングを評価した。

【企画賞】DJI Osmo Pocket 3

選考理由
定番のジンバル一体型カメラが1インチセンサーを搭載。片手で撮れる使いやすさをキープしながら、1/1.7型センサーの従来モデルより画質が向上。さらに高品位な4K動画を撮れるようになった。カメラバッグの隅に入れて持ち歩けるコンパクトさ、専用ワイヤレスマイクをセットにしても10万円を切る価格は、動画撮影をより多くの人にとって身近なものにすると評価した。

【技術賞】ニコン Z 8 の「オートキャプチャー機能」

選考理由
ニコン Z 8 (同 Z 9) のファームウェアアップデートで搭載された「オートキャプチャー」。従来の「プリキャプチャー」機能に、AIによる被写体検出機能や、距離・動作検知を掛け合わせることで、カメラが自動でシャッターを切るという新しい撮影体験を提供する。自動でシャッターが切れるので撮り逃しもなく、写真家が思い描いた瞬間を捉えることができる。撮影者がカメラから離れられることで野生動物にプレッシャーを与えずに撮影できるなど、これまでは特殊なシステムを組み上げる必要があった撮影を手軽に行えるようになった点を評価。

【功労賞】ラムダ

選考理由
自らも山岳写真家である佐久間博社長が、“山と写真を知り尽くした安全設計” を掲げて1982年に創業。誠実な物作りで質実剛健なラムダのカメラバッグは、多くのプロ写真家をはじめ山岳・風景写真愛好家を中心に熱烈に支持され、その撮影をサポートした。2023年8月末の終業まで、40年の長きにわたり続けてきたそのカメラバッグ製作活動に対して。

カメラグランプリとは?

「カメラグランプリ」は、写真・カメラ媒体が加盟するカメラ記者クラブ (2024年4月現在で7媒体が加盟) が主催し、カメラグランプリ実行委員会による運営のもと、選考委員を組織している。選考委員は、カメラ記者クラブ会員、加盟媒体の編集長もしくは代表者、外部選考委員、特別選考委員、特別会員のTIPA (欧州を中心とした媒体およびカメラ記者クラブが加盟する写真・映像雑誌の団体) で構成。41回目の開催となる今回は、総勢47名が選考にあたった。

「カメラグランプリ2024」の選考対象は、2023年4月1日~2024年3月31日の1年間に日本国内で新発売された機種。もっとも優れたスチルカメラを選ぶ「大賞」、もっとも優れた交換レンズを選ぶ「レンズ賞」、カメラ記者クラブ会員の合議によって選ぶ「カメラ記者クラブ賞」、一般ユーザーの投票で決定する「あなたが選ぶベストカメラ賞」「あなたが選ぶベストレンズ賞」が設けられている。

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