パリ五輪への影響は? 東京五輪王者・橋本大輝が”突き指”で無念の棄権→水鳥強化本部長「大きな影響ない」と説明【体操・NHK杯】

5月16日、東京五輪で体操の男子個人総合金メダリストの橋本大輝が右手の指を負傷したため、同五輪の代表選考会を兼ねたNHK杯(群馬・高崎アリーナ)を棄権すると発表した。17日に男子の強化本部長である水鳥寿思氏が棄権した経緯について、急きょ囲み取材に応じた。

橋本の負傷は15日の公式練習で平行棒の演技中に右手の中指を突き指してしまい、病院で診察した結果、「右中指側副靱帯損傷」と診断。大会への出場が叶わず、無念の棄権に至った。

同強化本部長は「まずは皆様にご心配をおかけしまって申し訳ありません」と謝辞。まだ指の腫れがある状況だと明かしたうえで、「本人は試合に出たいという意思を示していたんですけども、昨日診断を受けて本人とも話をした結果、いま無理して試合をしてオリンピックに影響してもいけないですし、すでに内定をしてオリンピックに向けた準備をしてほしいということもありましたので、ここはしっかりと休んで準備していこうということで、最終的に棄権ということになりました」と説明した。

気になる五輪本番への影響については、「そこまで大きな影響はない」と見解を示し、
「まずは5月中にしっかりと怪我を治しつつ、強化合宿を6月の1週目から始まりますので、その時に練習にしっかりと合流してやれるようなスケジュールを想定しています」と話した。

加えて、「やろうと思えばできる状況だと思います」と重傷ではないことを強調。ただし、技や種目による影響の具合によっては少し長引くことも否定はしなかった。
欠場が決まった時は「(橋本は)やりたいと。優勝してオリンピックに行きたかったという思いがあったので」と本人の心情を代弁。「そういう悔しい思いがあったんですけど、次に向けてやっていくべきだということを話をしながら、今はしっかりオリンピックに向けて頑張っていきたいということで言ってくれた」と、本人も納得した形で落ち着いた。

水鳥強化本部長は「僕としても残念な思いはあるんですけども、やっぱり今は無理するべきではないなと。最終的にはオリンピックで金メダルを取るという所を達成するためにどう考えるかということが大事」と言及。万全の態勢で大舞台に臨むためだと、説いた。

パリ五輪で個人総合2連覇を目指す橋本は、すでに五輪代表に内定している。男子体操界を牽引するエースの1日でも早い復帰を願うばかりだ。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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