ニューカレドニアに治安部隊増派、仏政府が暴動鎮圧急ぐ

Kirsty Needham Michaela Cabrera Juliette Jabkhiro

[シドニー/パリ 16日 ロイター] - フランス政府は16日、南太平洋のフランス特別自治体ニューカレドニアに治安部隊を増派した。17日夜までに警官と憲兵が計1000人加わり2700人態勢に増強され、兵士も少数が支援に回る見通しで、暴動鎮圧と治安回復を急ぐ。

政府は15日に非常事態を宣言。少なくとも10人を自宅軟禁にしたほか、中国系動画投稿サイトTikTok(ティックトック)の利用禁止に乗り出した。

フランスのアタル首相は記者団に対し「ニューカレドニア情勢は依然として大変緊迫しており、略奪や暴動、放火、容認できない暴力が続いている。(フランス政府は)略奪者や暴徒に最大限の断固たる態度を示す」と述べ、対応を強化する方針を表明した。

ダルマナン内務・海外領土相によると、暴動でこれまでに先住民カナクの若者3人と22歳の警察職員が死亡した。また、憲兵1人が部隊展開中の誤射で死亡した。

フランスのルイ・ル・フラン高等弁務官は、武装した部隊が2つの空港と港の防衛に当たっていると述べた。

高等弁務官によると、政庁所在地ヌメアの道路は炎上する車や破壊された車で封鎖され、ブービートラップが仕掛けられた箇所もあり、抗議活動を組織した団体メンバーと自衛グループの間でも衝突が繰り返されたという。

ニューカレドニアのニッケル埋蔵量は世界トップラクス。ただ、ニッケル産業は危機的状態にあり、独立派組織の関係者は経済的格差も暴動の一因だったと話した。

地元放送局によると、現地の商工会議所は暴動による被害総額を2億ユーロ(2億1700万ドル)と見積もっている。アタル首相はニッケル産業の窮状緩和のため政府が介入する方針を表明した。

© ロイター