法人ギフト市場に関する調査を実施(2024年)~2023年の国内法人ギフト市場は、前年比104.8%の2兆4,900億円に、コロナ前の水準には未達も、各オケージョンの勢いは加速。2025年にはコロナ前の市場規模を上回るものと予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内法人ギフト市場の調査を実施し、オケージョン別の動向、チャネル別の動向、アイテム別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況

2023年の法人ギフト市場規模は、小売金額ベースで前年比104.8%の2兆4,900億円と推計した。

コロナ禍では、人々が集うことで発生するギフト需要が低迷し、打撃を受けた。法人ギフトにおいても同様で、イベント需要やセールスプロモーション需要が急減したことで市場は大きく落ち込むこととなった。

一方、コミュニケーションツールとしてギフトの価値が見直されたことで、企業と従業員をつなぐ福利厚生(BtoE)需要などで新たにギフトを贈る機会が生じ、法人ギフト市場に対してこれまでになくプラスに働く面もあった。また、企業や人々の活動が再開し始めた2022年以降は、大きく落ち込んだ販促需要も回復基調にあり、更に2023年以降は自治体が市民に贈る自治体支援ギフトにおいて現金から現物のギフトにシフトする動きもみられるなど、法人ギフト市場に追い風が吹き続けている。

2.注目トピック~企業や自治体でギフトの価値が見直されるように~

新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業や自治体がギフトを活用する意義を改めて見つめ直す一つのきっかけになった。

これまで企業から個人へ配布するノベルティにおいては、大量生産・大量廃棄というネガティブなイメージが持たれていた。コロナ禍では企業が実施する店舗での呼び込みや販促イベント等のギフトを利用する機会を喪失し、企業としても、やみくもにノベルティを大量配布することに価値を見出せなくなり、販促に対して費用面や効果・効率の見直しを行うきっかけになったとみられる。

また、大手企業による虚礼廃止の風潮が進む中、コロナ禍でオンライン会議ツールの普及、対面の商談や会食の機会が減少したことで進物需要も大幅に縮小した。しかし、進物需要については件数としては大きく落ち込んだものの、対面で取引先と話すことが貴重になったため、対面で会ったことに対する感謝の気持ちを示すためにも、従来よりも特別感・こだわりのある高品質なギフトが贈られるようになった。それにより、ギフト選びのためのリサーチがより入念になされ、定番の品よりも話題性のある品や取引先の趣味嗜好にあった品が選ばれるようになった。

このように、時代の移り変わりやコロナ禍による状況・心境の変化によって、世の中や人々の価値観や消費行動は変化しており、ギフトを贈る・受け取る機会が淘汰されたからこそ、改めてギフト本来の目的である「気持ちを伝えるコミュニケーションツール」としての価値が見直されている。法人ギフトに係る事業者においては、今、社会で何が求められており、それに対して法人ギフトで解決できている・できていない課題は何なのか理解を深め、ギフトがもたらす価値を改めて上手く伝達していくことが求められている。

3.将来展望

2024年の法人ギフト市場規模は、小売金額ベースで前年比105.3%の2兆6,230億円を見込み、2025年は同103.9%の2兆7,260億円になるものと予測した。オケージョン別でみると、虚礼廃止傾向が進む中でBtoBギフト(企業間での進物などのビジネスギフト)は若干低迷する一方、BtoCギフト(企業から個人への販促ギフト等)の回復と、BtoEギフト(企業から従業員への福利厚生)とGtoCギフト(自治体から市民への自治体支援ギフト)の大幅伸長が寄与し、市場全体ではプラス成長になると予測する。

© 矢野経済研究所

関連記事