中間管理職への昇進に迷い…給与や待遇は良いのか。悩み1位は「部下と経営層の間で板挟みになる」

一覧表:部長・課長・係長の給与はいくら?男女別に確認

中間管理職とは、企業のトップと一般社員を繋ぐポストのことをいいます。

一般的には、課長や部長をイメージするとよいでしょう。

中間管理職は、企業のトップが正確な意思決定や経営判断を行うため、現場の仕事をタイムリーに把握して報告を行うだけでなく、一般社員の指導、管理なども行うため、組織を動かす「要」ともいえるでしょう。

そんな中間管理職の人は「部下と経営層の間で板挟みになる」という悩みを抱えるケースも少なくないようです。

最新の調査結果では、中間管理職の悩み1位が「部下と経営層の間で板挟みになる」であることもわかりました。

今回は、中間管理職の賃金をご紹介しながら、「もし中間管理職を目指す場合はどんな対策が必要か?」を考えましょう。

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中間管理職の役職別賃金と平均年収

まずは、厚生労働省の「2023(令和5)年 賃金構造基本統計調査 結果の概況」にて、中間管理職の男女別の賃金と平均年収を見てみましょう。

【写真1枚目/全3枚】中間管理職の男女別の賃金と平均年収。2枚目以降の写真で管理職の「リアルな悩み」が浮き彫りに

●男女計の役職別賃金と平均年収

  • 部長級(平均年齢52.8歳):59万6000円(年収約715万円)
  • 課長級(平均年齢49.2歳):49万800円(年収約589万円)
  • 係長級(平均年齢45.4歳):37万800円(年収約445万円)

●男性の役職別賃金と平均年収

  • 部長級(平均年齢52.9歳):60万4100円(年収約725万円)
  • 課長級(平均年齢49.2歳):50万700円(年収約600万円)
  • 係長級(平均年齢45.5歳):38万2300円(年収約459万円)

●女性の役職別賃金と平均年収

  • 部長級(平均年齢52.4歳):52万1000円(年収約625万円)
  • 課長級(平均年齢49.4歳):43万800円(年収約517万円)
  • 係長級(平均年齢45.4歳):33万5900円(年収約403万円)

男女計の「非役職者」の賃金は29万1100円。

それに対して、係長級の賃金は約3割増しの37万800円。

課長級であれば約7割増しの49万800円。

さらに、部長級になれば、約2倍の59万6000円です。

非役職者から役職が上がれば上がるほど賃金も増えることが示されています。

賃金の額だけをみれば「羨ましい…」と思うことがあるかもしれませんが、その立場は、上司と部下の板挟みでストレスがかかるポジションといえます。

次は2つのアンケート結果から、中間管理職が感じている悩みを見てみましょう。

中間管理職の悩み事とは?

中間管理職の悩みとして、2つのアンケート結果から紐解いていきます。

まずは、日本GHCDコーチング協会が2022年8月8日に公表した調査から見ていきましょう。

アンケートでは「職場で最も頭の痛いことやご自身の課題、悩み事は何ですか?」という質問に対し、以下の回答が寄せられています。

職場で最も頭の痛いこと

【職場で最も頭の痛いことやご自身の課題、悩み事の主なもの】

  • 1位:人間関係(上司、同僚、部下、取引先、顧客対応、そのほか)28%
  • 2位:チームマネジメント、状態 19%
  • 3位:自分自身のマネジメント、メンタルも含めた健康状態 15%
  • 4位:チームの業績、成果 12%

1位の人間関係、2位のチームマネジメントはどちらも「仕事を中心としたさまざまな人々との関わり」に絡むもので約5割を占めています。

そもそも現場が好きで、個人で成果を上げてきた人が中間管理職に昇進したとなれば、業績管理や部下の育成や教育なども業務に含まれる中間管理職に向かない場合もあるでしょう。

上司への報告、部下の業務フォローなど、それぞれの立場に合わせた仕事が増え、ストレスになるケースは多いと考えられます。

また、ミイダス株式会社が2024年4月25日に公表したアンケート結果では、中間管理職が抱える悩み1位が「部下と経営層の間で板挟みになる」であることがわかりました。

中間管理職が抱えている(抱えていると思われる)悩み

これから、中間管理職を目指すという方は、相応の対策が必要といえるでしょう。

中間管理職を目指す場合の対策とは?

今後、中間管理職を目指すためにはどんな対策が必要なのでしょうか。

必要と思われることを3つご紹介します。

上司と部下の板挟みを回避するために必要なこととは?

中間管理職は、上司が伝えたいこと、部下の悩みなど、それぞれの立場で感じること、言いたいことがわかるだけ板挟みの状態に陥る可能性があります。

それぞれの意見に耳を傾けつつ、良い方向に舵取りをする際、自分自身が疲弊しないためにも、客観的な視点を養い、それぞれの立場を理解しつつ、うまく調整するコミュニケーション力が必要となるでしょう。

部下の育成や管理が苦手な場合は?

中間管理職は、部下育成や業務の進捗管理を行う必要があるでしょう。

その際、部下の性格やスキルを把握しているつもりでも、意図が上手く伝わらずモヤっとすることもあるでしょう。

業務のフォローをしながら、部下のスキルを向上させたり、モチベーションを維持したりすることは大変です。

部下との関係構築を少しでも楽に行うには、コーチングなどのスキルを身につけておくのがよいでしょう。

コーチングとは、自分と他人とのコミュニケーションにおいて、行動や気づき、変化などを引き出すことができるスキルです。

部下が自ら変わることを促すことを目的にしています。

自身のストレス対処法を見つけておく

中間管理職になると、仕事に関わるさまざまな人のことに集中してしまい、自らのメンタルケアを忘れてしまうという場合もあるでしょう。

自分が抱えるストレスを和らげるためにも、趣味などの自分が好きなことをするための時間を意識的に持つようにしましょう。

適度な気分転換が図れることで、自分と周囲の人々とのことを客観的に捉えられるようになるでしょう。

まとめにかえて

中間管理職は一般社員に比べると1.3~3倍の年収がもらえます。

その分、責任が重くなりストレスを抱えることも多くなります。

これから、中間管理職を目指すという方は、自分自身のストレス対策を知り、周囲とのコミュニケーション方法などを学ぶなどの対策を考えておくとよいのではないでしょうか。

参考資料

  • 厚生労働省の「2023(令和5)年 賃金構造基本統計調査 結果の概況」
  • 一般社団法人日本GHCDコーチング協会「中間管理職約312名を対象に「職場の悩みアンケート」実施 中間管理職が抱える深い悩み 2022年春以降出社復活してもコミュニケーションが困難 中間管理職の約5割が“他者との関係性”に最も頭を痛める」
  • ミイダス株式会社「【経営者・中間管理職に聞く現代のマネジメント】経営者・中間管理職ともに、この10年で「マネジメント業務の変化」を実感 経営者が中間管理職に求める役割、第1位は?」

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