ソニーミュージック、楽曲のAI学習を拒否 アーティストの権利保護のため

ソニーミュージックグループが5月16日(ニューヨーク時間)、「Declaration of AI Training Opt Out(筆者訳:AI学習の拒否宣言)」と題した声明を発表した(外部リンク)。

自社の管理する楽曲、歌詞、録音、アートワーク、画像、データなどのコンテンツについて、生成AIの学習などいかなる目的にも無断での使用を許可しないと強調した。

AI学習への無断学習を拒否する一方でその可能性も指摘

この声明は16日、ソニーミュージックの英語公式サイトに掲載されたもの。

関連会社であるソニーミュージックパブリッシングおよびソニーミュージックエンタテインメントとともに、グループを代表して宣言がなされている。

声明の冒頭でソニーミュージックは、「1世紀以上にわたって世界中のソングライターとアーティストの育成とプロモーションに投資してきた」と説明。「人間の芸術性が持つ重要な価値を信じている」と強調した。

一方で、AIの可能性についても「創造的なツールとして使用され、ソングライターやレコーディング アーティストが音楽を作成する方法に革命をもたらす」と触れている。

しかし「その革新は、著作権を含むソングライターとレコーディング・アーティストの権利が尊重されることを保証しなければならない」とし、今回の声明を発表した。

音楽業界を巡る生成AI関連の動き

音楽分野での生成AIを巡る動向としては、YouTubeが2023年8月にAI音楽原則を発表。

UNIVERSAL MUSIC GROUP(ユニバーサル ミュージック グループ)と連携し、AIの活用に積極的な姿勢を打ち出したほか、2023年11月には生成AIを利用したコンテンツにその開示を義務付けるガイドラインを発表している。

また、ユニバーサル ミュージック グループは、生成AIからの保護を巡ってTikTokと対立。

こちらは5月2日に和解し再契約。両社で、音楽業界全体のAI開発が、アーティストやソングライターを巡る経済を保護しながら行われるように協力すると宣言を打ち出すなど、各社で対応が続いている。

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