蔵の残る古い町並みが「重要伝統的建造物群」指定へ 歴史を物語る風景を受け継ぐ【長野・須坂市】

須坂市街地に残る蔵の古い街並みが国の「重要伝統的建造物群」の保存地区として指定される見通しとなりました。文化財としての価値が国に認められた形です。

この街並みは、かつて製糸業で栄えた須坂の歴史を物語る風景です。
■草田敏彦アナウンサー
「いま交差点として日常的に使われている道路、江戸時代、まさにこの道筋が街道が交わる十字路でした。中町の辻と呼ばれていて、人や物が行き交う交通の要衝だったのです」

いわば経済活動の中心地で、ここから街並みが形成されていきました。国の「重要伝統的建造物群保存地区」、略して「重伝建」文化財保護法に基づいて歴史的な集落や街並みの保存を目的に国が選定する仕組みです。
県内ではこれまでに南木曽町の妻籠宿や千曲市稲荷山など7地区が選ばれています。
田子修一さんは保存地区に自宅があります。推定100年以上前の繭蔵を住宅として改築しました。

■田子修一さん
「この梁は蔵のものですか、そうそうそうです。窓からの眺めもなるほど昔ながらの風景が残っている感じですね…」

須坂市はこの街並みをまちづくりに生かす狙いで、重伝建として国に認められるよう申し出ていました。17日開かれた文科省の審議会で大臣に答申され、近く国の指定となります。今後、建物の改築などに制約が求められる一方、修理や防災設備、案内板の設置などに対して国の補助が受けられます。

■田子修一さん
「結果的に(重伝建指定で)外から人がやってくることは否定はしないが、一番大事なのは住んでいる市民の思いなので、市民が満足して納得のいくような運営が出来れば」

地域で守ってきた歴史ある街並みが国の後ろ盾を得て、この先も引き継がれていきます。

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