バイデン氏、大麻の分類変更を支持 現行法は「失敗した対応」と

米司法省は16日、大麻を危険性の低い薬物へと分類変更する案を正式に発表した。同国の薬物に関する改革としては、過去50年間で最も大きなものとなる。

ジョー・バイデン大統領は「長年の不公平を覆すための重要な対応」だとして、この動きをたたえた。

バイデン氏は30年前に大麻に関して犯罪として厳しく対応する法律の制定に関わっており、政治家としての姿勢を転向することとなった。

若い有権者からの支持が揺らいでいるバイデン氏にとって、今回の動きは大統領選を前に、支持率アップにつながる可能性がある。

新たな分類は、大麻の娯楽使用を全面的に合法化するものではない。アメリカでは現在、50州のうち24州とコロンビア特別区が娯楽目的での使用を合法とし、38州で医療目的での利用が合法となっている。

バイデン氏はふだん、大麻政策に関しては口が重いが、16日は一転。「大麻に対する私たちの失敗した対応のせいで、あまりに多くの人生がおかしくなってしまった」、「私はそうした歴史的な過ちを正すと誓う。約束する」とX(旧ツイッター)に投稿した。

乱用の危険性が低いものに

バイデン政権の案では、連邦レベルで大麻の分類を、危険で習慣性のあるヘロインや合成麻薬LSDなどと同じ「スケジュール1」から、乱用の危険性が低いか中程度とみなされるアナボリック・ステロイド、ケタミン、テストステロンなどと同じ「スケジュール3」に移行させる。

連邦政府は、連邦議会が規制物質法を制定した1970年以来、大麻を「スケジュール1」に分類してきた。

これを変更することで、合法的な大麻産業は、銀行のサービスや外部からの投資を受けやすくなり、活性化することが予想される。

今回の動きはまた、大統領選に向けて若者やマイノリティーの支持を集めたいバイデン氏にとって、重要な後押しになる可能性がある。アメリカではこのところ、特にガザでの戦争をめぐって、政権に対する怒りの声が噴き出している。

バイデン氏は上院議員時代、1994年に成立した犯罪法案を作成した。この法律は、薬物犯罪で黒人を不均衡に多く投獄していると非難されることが多い。

2020年大統領選では、バイデン氏は大麻の使用を非犯罪化すると公約。また、単純所持や少量の使用で刑務所に入れられるべきではないとの考えを表明した。

ただ、全面的な合法化には反対の姿勢を取り続けている。その代わり、大麻所持で連邦裁判所で有罪となった多くの人々に、2回にわたって恩赦を与えている。

バイデン氏は16日、「誰も大麻の使用や所持だけで刑務所に入れられるべきではない」とXに書き込み、これまでの自らの行動を肯定した。

また、「現在、大麻はフェンタニルやメタンフェタミンより高いレベルに分類されている。それら二つの薬物は、アメリカで過剰摂取がまん延している原因だ」とし、「納得がいかない」と書いた。

今回の正式な変更案は、16日に官報で公示されたことで、60日間のパブリックコメント期間によって始まる長い承認プロセスに入る。それを経たのちに変更案は発効する。

(英語記事 Biden endorses cannabis reclassification, slamming 'failed approach'

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