忘れられない味を再現した『du pain』のカルダモンロール

パンの街を標榜する京都には、そこかしこに行列店がある。

神宮丸太町駅に程近い『du pain』(デュ パン)もその一つだが、オープンは2024年2月。まだ立ち上げて間もないのに、午前11時の開店時間ともなれば長蛇の列。昼過ぎには完売してしまうというのだからさらにスゴイ。

とある日、「あまから手帖6月号」のパン特集の事前調査で、閉店時間間際に訪れてみればやはり噂通り。パン一つ残らないきれいな店内で女性店主が一人、せっせと後片付けをされていた。さぞかし名のあるパン店のご出身と思い伺えば、もともとパン教室を主宰していたがすべて独学という。

取材の段取りなど打ち合わせする中で、カルダモンロールの話に。そもそもカルダモンロールって、もっと生地がウネウネ編みこまれた感じではなかったか。

即座にこちらの思考を察知した店主の渡邉明美さん曰く「近所の店でもう閉店してしまったのですが、そこで大好きだったカルダモンロールを再現したんです」と。

いざ実食すれば、これがカルダモンロールと知らずともはっきり言い当てられるくらい、カルダモンの香りをしっかり感じる。仄かな甘みとマッチして病みつきになりそうな味わい。

閉店してしまった店の一名物のオマージュ作ながら、復活を勘違いして喜ぶ客もいるくらいの完成度。改めて独学の凄みを実感。

京都を訪れた際は、是非お試しを。

『du pain』のカルダモンロール320円。独特なロール形状で存在感がある。

『du pain』

住所/京都府京都市上京区上生洲町211

※こちらの記事は、関西の食のwebマガジン「あまから手帖Online」がお届けしています。

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