コーシャス・クレイ、再来日公演に向け最新作『カルペ』を徹底紹介

© Meron Menghistab

2億回以上のストリーミング再生と2,000万回以上のYouTube再生を誇るインディ・ソウルのニュー・スター、コーシャス・クレイ。これまでビリー・アイリッシュ、ジョン・レジェンド、ジョン・メイヤー、レミ・ウルフ、UMIなどと共演し、テイラー・スウィフトの「London Boy」に自身の楽曲「Cold War」がサンプリング使用されたことでも話題を集めてきた才人だ。最近ではVの「Slow Dancing」で印象的なフルートをプレイしており、同曲のリミックスも手掛けるなどワールドワイドな活躍を続けている。

<YouTube:V 'Slow Dancing' Official MV

昨年11月の初来日公演も大きな話題を呼んだ彼が、5月30日に一夜限りの再来日公演をduo MUSIC EXCHANGEで行う。どんなステージになるのか今から楽しみだが、今回はそんな彼が昨年8月に名門ブルーノートからリリースした最新作『カルペ』について、本人のインタビューも交えておさらいしてみよう。

<YouTube:60秒でわかるコーシャス・クレイ (Cautious Clay)

コンセプトは「ジャズ・アルバム」

「Cold War」や「Wildfire」といったシンプルかつメロディアスな作風で、2017年の活動開始以降瞬く間に人気を博したコーシャス・クレイ。そんな中で昨年リリースした最新作『カルペ』は、ジャズの要素をふんだんに取り入れた作風となっている。

<YouTube:Cautious Clay, Joshua Karpeh - Ohio

参加アーティストも、ジュリアン・ラージ、ジョエル・ロス、アンブロース・アキンムシーレ、イマニュエル・ウィルキンスなど現代のジャズ界を代表する錚々たる面子。さらにアルバムはジャズの名門であるブルーノート・レコードからリリースされることになったが、その経緯について本人は昨年のインタビューでこう語っている。

「友人のジョン・メイヤーが、僕のことを(ブルーノート社長の)ドン・ウォズに伝えてくれた。それでドンから連絡が来たんだ。本当に気さくな、『君と音楽を作りたい』みたいな口調だったよ。だから自分から契約を求めてというわけではないけれど、ドン自身ものすごい音楽好きなひとだし、そんな“音楽人間”が自分に関心を持ってくれたことが嬉しかった。これまで以上に自分を深く表現し、理解してもらえることも大切なことじゃないかと思っていたところに、ブルーノートから作品を発表する話が来て、コンセプト・アルバムの構想が浮かび、それが今回の『カルペ』になった。せっかく伝説的なジャズ・レーベルから作品を出せるわけだし、僕はジャズが好きだから、そうした要素を生かせる内容にしたいとも考えたんだ」

自身のルーツとしての「ジャズ」

<YouTube:Cautious Clay, Julian Lage - Another Half (Live)

自身の曲作りについて、「自分は音楽の深さやニュアンスに面白みを感じるタイプなんだけど、そこにはジャズを聴いてきたことが反映されていると感じるね」と語るコーシャス・クレイ。7歳でフルートを習い、高校のジャズ・バンドではサックスを演奏、大学ではジャズを副専攻で学ぶなど、幼少期から常にジャズは身近な存在だったそう。そんな彼が初めて意識して聴いたジャズのアルバムはマイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』だったようで、その時の衝撃を以下のように語っている。

「11歳のときに父親とワシントン州のシアトルを車でドライブした時のことだよ。すごく雨が多い土地なんだけど、その時は大きな山に霧がかかっていたのを覚えている。そこを通りかかったとき、ちょうどカーステレオから『カインド・オブ・ブルー』が流れてきた。それまでにもジャズは聴いたことがあったけど、子どもにはちょっとわからないというか、身近に感じにくいところがあった。だけどこの瞬間、『ジャズってすごくいいな』と心に入り込んできた。外の風景も含めてね」

<YouTube:Miles Davis - Kind of Blue 50th Anniversary

そんなルーツを持つ彼にとって、ジャズをコンセプトとしたアルバムを制作するのは自然な成り行きだったのかもしれない。これまでは自身でトラックのほぼ全てのパートを制作することが多かったコーシャスだが、今作『カルペ』では、ギタリストのジュリアン・ラージと5曲の共作を行っている。抜群のコンビネーションを感じさせるこのコンビだが、2人が出会ったのはつい最近のことだったという。

 「ジュリアンとは制作直前にドン・ウォズを通じて知り合ったんだ。だけど、会う前から彼は僕の音楽を聴いてくれていて、それは予想外の喜びだった。おかげで、ものすごく短時間でお互いを理解することができたような気がする。ジュリアン自身、ギター奏者としてはもちろん、ソングライターとしての才能にも溢れていて、これは彼が言うには“パートナーのマーガレット・グラスピーが作曲家としての部分を開花させてくれた”ということになるけれど、本当にジュリアンとは会った瞬間に信頼関係が生まれたね」

<YouTube:KARPEH ~ Figure 8 recording session BTS w/ Julian Lage, Sean Rickman, & Joshua Crumbly

メインストリームを主戦場としつつもジャズをルーツとして持っていたコーシャス・クレイと、現代ジャズを代表するアーティストとして活躍しつつもオーセンティックなジャンルに捉われない音楽性を見せるジュリアン・ラージ。2人の出逢いは必然だったのかもしれない。

一夜限りの再来日公演

<YouTube:Cautious Clay - The Tide Is My Witness (Live Performance) | Vevo

昨年の初来日公演では、「Wildfire」などの代表曲も交えつつ、最新作『カルペ』収録曲を中心にジャズ色の濃いパワフルなパフォーマンスを見せたコーシャス・クレイ。今回の一夜限りとなる再来日公演ではどのようなステージを見せてくれるのか、今から楽しみだ。

「何よりも楽しんで聴いてほしいと思う。そして、人生における体験、人とのつながりといった、このアルバムのメッセージに共感してもらえれば嬉しい」と彼が語る最新作『カルペ』の世界を再び堪能出来る絶好のチャンス。ぜひ会場へ足を運んでみよう。

■リリース情報■リリース情報

コ―シャス・クレイ『カルペ』
8月18日(金)発売 UCCQ-1190 SHM-CD ¥2,860(税込) 

デジタル配信&CD購入はこちら→https://Cautious-Clay.lnk.to/Karpeh

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