共同親権成立へ。ジャーナリスト青木理「家庭裁判所がパンクしてしまうのではないか」

5月17日(金)、大竹まことがパーソナリティを務めるラジオ番組「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜~金曜13時~15時30分)が放送。「共同親権法案成立」についてのニュースを取り上げ、パーソナリティの大竹まこととジャーナリストの青木理がコメントした。

参院法務委員会は16日、離婚後の共同親権を導入する民法改正案を自民、公明、立憲民主、日本維新の会各党などの賛成で可決した。参院本会議で17日に可決、成立する見通し。離婚後親権の在り方を見直すのは77年ぶりで、多様化する家族関係への対応が狙い。一方で、離婚前のドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害が続く可能性が懸念されている。公布から2年以内に施行する。

太田英明アナ(アシスタント)「戦前は親権者を原則父親としていたんですが、1947年の民法改正で見直されて離婚後は父母どちらかを親権者とする現在の制度になりました。今回の改正案では父母双方が親権を持つことが選択可能になります。父母の協議で決めるんですが、折り合わなければ、家庭裁判所が判断します。DVや虐待の恐れがあれば、単独親権とします。すでに離婚した父母も共同親権の変更申し立てが可能とありますが、DVや虐待の被害継続が懸念されたため、衆議院では不足を一部修正。不本意に合意させられることのないよう、父母の審議を確認する措置を検討すると織り込まれました」

大竹「憲法学者の木村草太さんがこれに異を唱えてますね」

太田アナ「はい。Xでのポストなんですが、「この期に及んで「別居親と子どもが会う会わない」の話ばかりで、別居親の同意がないと医療・教育・旅行等の決定ができなくなること(=共同親権)で、子どもにどんなメリットがあるかの報道がない。報道各社が一生懸命探して、ついに発見できなかったということ。」とあります」

大竹「よくわからないんだけど、共同親権法案は誰が言い出したのかと思ってるんだけどね」

青木「まあいろんな思惑抱えた法案ではあったと思うんですけれども、これ世界的に見ると先進国なんか結構共同親権になってるんですよね。ただ、太田アナさんがご紹介してくださったように特にDVなんかを受けているような、特に女性に被害が広がってしまうのではないかと。その手当てをちゃんとしなくちゃいけないのにその手当てがあまりされてない。要するに、父母の関係が悪くなっていなくて、合意をして共同親権だったらもちろん問題ないんだけど、DVも含めた父母が非常に折り合いが悪い。あるいは女性が元夫と会うこと自体が危ないみたいな場合は家庭裁判所が最終的に判断するとあります。ところがその家庭裁判所が、東京新聞の別の記事に書いてるんですけれど、全国の家庭裁判所が22年に受理した家事事件、家庭の紛争なんかの事件の申し立てってのは、114万件もあるんですよ。これは12年からの10年で30万件近く増えてるんです。だから家庭裁判所がきちんとこれはDVだからっていうことできちんと処理してくれるような態勢が取れてるんだったら共同親権にしても、むしろいいと思うんですけれども、そういうのもできてないないんですね。だから家庭裁判所がパンクしてしまうのではないか。そうなると、木村さんもそうだし、あるいは女性団体なんかが懸念しているとおり、そういうDV被害者みたいな人たちの悩みというか苦悩がどんどん大きくなってしまうんじゃないかっていう意味でいうと、僕もこの法案はあまり詳しく取材してはいないんですけれども、ちょっとこのまま成立させるのは、まずいんじゃないかなというか」

「間に曖昧なことが多すぎるよね」

と、共同親権に不安が残るというコメントが続いた。一方で、木村氏のポストにある「医療・教育・旅行等の決定ができなくなること」については、「単独親権者が子どもの意思(希望)に反して反対していたらどうなるの?」や、「なんで「親権をとった側が常に正しい判断をする」という前提なんだろうな 逆の場合も当然あるだろうに」などの意見も挙げられた。

更に、子ども虐待に関する統計調査において,父母がそろっている世帯と比較し,母子世帯などひとり親世帯は虐待の発生率が高いことが指摘されている。

また、海外で結婚した後、離婚して子供を日本に連れてくる国際的な子の連れ去りの問題もあがっている。共同親権の成立により、これらの諸問題がどのように解決されるのか注視していくことが必要である。

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