レイカーズの次期HC候補に挙がるレディックへ疑問の声「レブロンに向かって“とっとと戻れ”と叫べるのか?」<DUNKSHOOT>

ロサンゼルス・レイカーズは、現地時間5月3日に2シーズン指揮を執ったダービン・ハムHC(ヘッドコーチ)を解任したほか、アシスタントコーチ(AC)たちも一掃し、コーチ陣にメスを入れた。

昨年のプレーオフでウエスタン・カンファレンス決勝まで勝ち上がったレイカーズは、リーグ制覇を目標にして迎えた今季、インシーズン・トーナメントの初代王者となったものの、レギュラーシーズンでは終盤までエンジンが掛からず、ウエスト8位の47勝35敗(勝率57.3%)で終えた。

第7シードを獲得して臨んだプレーオフでは、1回戦でデンバー・ナゲッツに1勝4敗で敗れて早期敗退を喫している。

シーズン終了後、ハムHC解任説に異を唱える声もあったなか、結局チームは新たな指揮官を迎える道を選択。14日には、米スポーツ専門メディア『The Athletic』が、次期HC候補の筆頭にニューオリンズ・ペリカンズのジェームズ・ボーレゴAC、JJ・レディック(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)、ボストン・セルティックスのサム・キャセールACが挙がっていると報じた。
46歳のボーレゴはオーランド・マジックやサンアントニオ・スパーズでもACを務めたほか、シャーロット・ホーネッツで4シーズン指揮を執った実績を持つ。

元選手で54歳のキャセールは、これまでワシントン・ウィザーズ、クリッパーズ、フィラデルフィア・セブンティシクサーズでもACを歴任。もっとも2014-15シーズンのクリッパーズ時代からシクサーズにいた昨季までは、いずれもドック・リバースHCの下にいたこともあり、現在ミルウォーキー・バックスで指揮を執るリバースHCが再び呼び寄せようとしていると15日に『NBAインサイダー』のマーク・スタイン記者が報じている。

ただ、イースト決勝進出を決めたセルティックスは、リードアシスタントのチャールズ・リーがホーネッツの次期HCに就任することが決まっていることもあり、これ以上のコーチ陣の退団はできれば避けたいところだろう。

そこで気になるのがレディックの動向だ。ホーネッツの次期HC候補として面談をしたとも報じられている39歳の元シャープシューターは、米スポーツ専門局『ESPN』でアナリストを務める傍ら、複数のポッドキャスト番組も手掛けていて、レイカーズのレブロン・ジェームズともタッグを組んでいる。
的確な分析と発言力は、コーチ経験なしにゴールデンステイト・ウォリアーズの指揮官に就任したスティーブ・カーHCを彷彿とさせる部分もあるが、元選手のチャニング・フライ(元フェニックス・サンズほか)は、16日に『NBA TV』へ出演した際、レディックのレイカーズ次期HC候補という報道を受けてこう話していた。

「正直なところ、それは死刑宣告だと思うね。1年目のコーチとしては、誰にとってもオススメできる仕事じゃないだろうから」

NBAチームのHCは世界で30人しかなれないレアな仕事。その反面、チーム成績が悪ければ契約が残っていようと容赦なく首を切られ、好成績を残していてもフロントや選手たちとの関係が悪化すれば決別となってしまう難しい職でもある。

特にレイカーズは常に優勝が期待されているチームだけに、そのプレッシャーは並大抵のことではない。コート上で結果を残すことはもちろん、人気チームゆえの連日のメディア対応など、なおさらタフなものとなる。
また、レディックに関しては同い年のレブロンとの関係も気になるところ。16日に地元メディア『Los Angeles Times』へ公開された記事で、もしレディックがレイカーズの指揮官に就任した場合、とあるチームのエグゼクティブは「ファウルコールがなくて不満を口にしているレブロンに向かって“とっとと戻れ”と叫べるのか?」と疑問を呈している。

レブロンはリーグ最年長で、来季はヴィンス・カーター(元トロント・ラプターズほか)と並んで歴代最長の22シーズン目を迎える大ベテラン。今なお第一線で活躍を続けており、チームの顔でもあるため、指揮官はこの男と良好な関係を構築することが必須条件と言っていい。

『The Athletic』によると、レイカーズが次期HC探しをするうえで、“コーチK”ことマイク・シャシェフスキーを非公式ながらアドバイザーに迎えているという。アメリカ代表の指揮官時代にレブロン、デューク大ではレディックを指導した実績があるため、元名将の助言がカギを握るかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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