岸田首相は「謙虚さゼロ」…子育て支援金、参院でも強気に「実質負担ゼロ」

国会議事堂(資料写真)

 新設の子育て支援金制度の財源を公的医療保険料に上乗せして徴収することを盛り込んだ少子化対策関連法案を巡り、参院での審議が17日の本会議で始まった。野党は「高齢者は子どもには戻れない」(日本維新の会の片山大介氏)などとサービス受給関係の非整合性の指摘を交え「実質負担ゼロ」との岸田文雄首相の主張を批判。それでも衆院審議同様に強気の答弁を繰り返す首相へは「謙虚さゼロ」とのやじが飛んだ。

 「賃上げが保険料負担の増額分を相殺する」(政府関係者)との首相の主張は与党内にも不評だ。「後援者を回ると裏金(政治資金不正)と支援金への苦情にさらされる」(自民の神奈川県選出議員)という。公明党も「総理から『支援金を供出していただく』という姿勢の発信が必要だ」(4月2日の衆院本会議での中野洋昌氏の質問)などと促してきたが、そんな忠告に対しても「世界に冠たる国民皆保険を守るために必要な対応だ」(答弁)と反論するなど一顧だにしていない。

 参院審議で片山氏は「後期高齢者医療制度の導入で全世代に負担を求めた根拠は『誰もが歳を重ねる』からだ」とした上で「子育てに同じ理屈は通じない。今回のやり方を許せばどんな事にも社会保険料の流用を拡大できてしまう。現役世代の可処分所得を奪い少子化対策にも逆行している」と子育て支援金制度の全面撤回を要求した。

 首相は「少子化に歯止めをかけることは医療保険基盤制度の持続可能性を高めるので『保険料を目的外使用』との指摘は当たらない」と反論。「支援金は児童手当給付などに充てられ、少子化対策に反するどころか子ども・子育て世帯への大きな給付につながる」などと突っぱねた。 

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