幼少期の体験から歓楽街に保育所を立ち上げたスナックのママ「親が幸せ=子供も幸せ」

九州最大の歓楽街「中洲」。夜に働きながら子育てする親をサポートする夜間保育園があります。その保育園の園長は、保育園を経営しながら、スナックで働いています。自身の経験などを通して学んだ親や子供へのサポートの様子を取材しました。

九州最大の歓楽街「中洲」

九州最大の歓楽街、中洲。そのすぐ近くの上川端商店街の中に保育園「マミーハウス」がありますほとんどの子供たちが登園してくるのは午後4時ごろからです。

2歳女の子「ママ、いってらっしゃい」

この保育園は夜に中洲のスナックなどで働く親が子供を預けることができる夜間保育園です。

開園は午後2時~午前3時

開園時間は午後2時から午前3時。

0歳から5歳までの子ども約20人が通っています。

「親が商売。子供のころ寂しかった」

園長の草野真由美さんは、自身の幼少期の経験から、この保育園を立ち上げました。

マミーハウス 草野真由美園長「両親が商売していたので、夜親と一緒にいれないという寂しさがありました。私も子供2人いるんですけど、1人目を産んで生後5か月ですぐ近所の夜間保育園に預けに行ったんですけど、その時に周りにいた2、3歳の子供たちを見て「ちっちゃい頃の私がいる」と思ってオーバーラップしたところがあって・・・いつか保育園を立ち上げたいと思っていました」

上の子の出産から約15年、草野さんは2016年にマミーハウスを立ち上げました。

「企業主導型」保育園

マミーハウスは、「企業主導型」の保育園です。

「企業主導型保育園」とは、待機児童問題の解消や多様な働き方に応じた保育の提供を目的に、企業が国からの助成金を受けて運営する保育園です。

マミーハウスでは月額の保育料を、年齢に応じて2万7000円~3万5000円に設定しています。(延長保育は別)

マミーハウス 草野真由美園長「本当に先生たちの人数もたくさん入れられるし、保育料も普通の保育園に預けるよりも安い料金で預けられます」

『諦めてたけど、すぐにでも働きたい』

コロナ禍が明け、飲食店の営業などが通常に戻ってきた中で0歳児の預け入れが増えていると草野園長は話します。

マミーハウス 草野真由美園長「5類あけてからは0歳児のお子さんの問い合わせがすごく多いです。今までコロナ禍で仕事が無いと思っていたのが働けるということになって、『諦めてたけど、すぐにでも働きたい』と。生活は楽ではないし、シングルで産む方もいればすぐ離婚される方もいるので人それぞれですけど、みんなすぐにでも働きたいし、働く場がある、『やっと働けるんだ』ということもあるんじゃないかと思います。」

夕食もみんなで一緒に

午後6時過ぎから夜ご飯の時間です。ほうれんそう・にんじん・ごま、栄養たっぷりの食材が並びます。

「食べてみて。食べれるじゃん素敵!」

午後9時 お布団に

運動したり絵本を読んだりしてたっぷり遊んだ子供たち。

午後9時前には布団に入ります。

園長、スナックに出勤

一方その頃草野園長は・・・

草野園長は保育園の園長を務める一方で、中洲でスナックを営んでいます。

草野園長の出勤に常連客もうれしそうな様子です。

常連客「お客様を見て、そしてトークも楽しませるすごいなと」「草野先輩がいつも楽しそうにされているんで、僕らも楽しく飲ませて頂ける感じです。」

午後11時 子供たちの様子を確認

午後11時過ぎ、一旦店を抜け、保育園に戻ってきた草野園長。

ひとりひとり子供たちの様子を確認します。

お迎えは午後11時から午前3時

仕事を終えて子供たちの保護者がお迎えに来るのは午後11時から午前3時にかけて。

シングルマザーや経済的な困窮など、夜に働く事情は様々。親たちにとって、この保育園はなくてはならない存在です。

「遅い時間にみてもらえる。ありがたい」

保護者「ご飯も出してくれるし、公園も遊びに連れて行ってくれるし、なにより安い。」「どうやって働こうかと思っていたのでありがたいです。」

保護者「寂しがることは正直あるんですけど、働かないと大きくできないというのもあるので、ちょっとさみしい思いをさせてしまいますけど保育士の先生が少ない中、事情があって私含め夜働く親にとって遅い時間に見ていただけるのはすごくありがたい」

「お母さんの幸せに貢献したい」

夜の街中洲で保護者やその子供たちに寄り添い続ける草野園長。自分自身の経験も踏まえ、子供の幸せのために保護者のサポートに積極的に取り組んでいきたいと話します。

マミーハウス 草野真由美園長「心理的な面と生きづらさというのはすごくつながっていると思っています。子供の心と体を安定させるにはどうしたらいいかと考えていたんですけど、それにはお母さんの幸せがいちばん。これからはお母さんの幸せに向けて私が貢献できることをできたらいいなと考えています。」

「親が幸せでこそ子供も幸せ」と話す草野さん。

今後は、親たちに心理学や臨床心理などを伝える場や起業のノウハウを学べる場を提供し支援したいと、NPOの設立に向け準備を進めています。

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