看護週間インタビュー 現場の声 大切に 平塚共済病院看護部長 前田佳美さん 平塚市

指導にあたる前田看護部長

ナイチンゲールの誕生日にちなみ、5月12日に制定された「看護の日」。12日を含む週の日曜日から土曜日までが「看護週間」と定められており、今年は12日〜18日にあたる。4月に平塚共済病院(追分)の看護部長に就任した前田佳美さんに、看護師育成について話を聞いた。

同院で勤務する430人の看護師を束ねる。「自分らしく看護部長を務めるには、病棟に足を運び現場ナースの声を大切にしたい。働きやすい職場作りを心がけています」と笑顔で話す。

1998年に入職し、脳神経外科や循環器内科などさまざまな診療科を経験。その中でも忘れられない出来事があるという。「急性胆のう炎で亡くなった患者さんがいて。自分がもっと大きく言葉を発していれば、観察する力があればと今でも後悔しています」。その経験から、丁寧な観察と少しの変化でも報告する姿勢を、後輩ナースに伝えている。

「学びの継続」願い

昨年までは教育担当室で、看護学生の実習をはじめ、師長や認定看護師など立場の異なる先輩看護師が後輩に経験を伝える取り組みを行うなど、教育体制を整えてきた。「できる限り看護師として働き続けられる職場にしたい。看護師は専門職なので、学び続けてほしいという思いもある」と強い眼差し。

コロナ禍も脱し、今後は地域全体に目を向けていきたいという。同院は地域医療支援病院としての機能も持つため、「看護師がコーディネーター役となり、訪問看護ステーションなどの看護師と連携を図っていければ」と話す。

「時代は変わっても看護の質は変わらない。入院中の患者さんにとっては病棟が生活の場となるので、患者さんの根底にあるニーズを適切に捉えることが大切」。看護師としてのあるべき姿を、自身も追求している。

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