高知県宿毛市の震度6弱の地震から1ヶ月 もしもの備えなど町の人に変化は【高知】

高知県宿毛市で震度6弱を観測した地震から、5月17日で1ヶ月が経ちました。町の人の備えや考えはどう変わったのでしょうか。今の宿毛市を取材しました。

土居記者

「宿毛市で震度6弱を観測した地震からきょうで1ヶ月、町では被害があった建物の工事が進められている一方で、屋根にかけられたブルーシートなどがちらほらと見られます。」

4月17日午後11時14分、豊後水道を震源とするマグニチュード6.6の地震が発生。宿毛市では震度6弱の揺れを観測し、住宅の屋根瓦が落ちたり、街路灯が倒れるなどの被害が相次ぎました。

地震から1ヶ月、街の人は。

「普通の日常を送れているが、もしあれが6強とかひどかったらと考えるとぞっとしている」

「ちょっと風なんかで家が揺れると、また地震かと頭から離れん」

「大きいのが来るんじゃないかという不安はある」

震度6弱の発生後から5月17日正午までに、宿毛市では震度1以上の揺れが67回観測されています。

宿毛市内にある大西酒店の大西慶典店長は当時のことをこう振り返ります。

大西慶典さん

「ちょっと大きめの揺れが来て、デカいなと思った瞬間に急に揺れが大きくなったので、これは普通の地震じゃない、やばいと思った」

発災直後は、床に商品の瓶が落下して割れた破片が散らばっていました。冷蔵庫の裏でも、足の踏み場もないほど床に商品が落ちていました。地震の揺れで、当時150本以上の酒の瓶が割れ、商品にならなくなったといいます。

大西慶典さん

「揺れ自体はそんなに長く感じなかったが、あの時間でこんなに落ちるのかと。揺れが長かったら店の中のお酒全滅やったろうなと。それ考えたら足が震えた」

地震から1ヶ月経ち、大西さんは対策を施していました。

大西慶典さん

「棚には全部棒をつけてなるべく落ちないように、落ちたとしても最小限の被害で済むように」

焼酎などの1升瓶が並ぶ棚には、落下を防ぐために幅5センチほどの木の板を手作業で取り付け、ワインが並ぶ棚は突っ張り棒でガード。最も被害が大きかった冷蔵庫は使わなくなった自転車のチューブを使い、少しでも落下を防ごうと工夫を凝らしました。

宿毛市役所の本庁舎では、1階ロビーに罹災証明書などの発行ブースを設置していて、今も1日に3人~4人ほどが申請に訪れるということです。宿毛市によりますと、16日までに被災証明書を327件発行、罹災証明書の申請は22件に上っています。

また、今回の地震や能登半島地震の影響からか、住宅耐震の相談に訪れる人が増えているということで、16日までに53件の相談があり、すでに昨年度1年間の相談件数の約2倍になっています。(2023年度:27件)

宿毛市役所危機管理課 有田課長

「現在も60回近い余震も続いているので、気を引き締めて引き続き対応していかなければならない。南海トラフ地震に向けて、昨年度から『事前復興まちづくり計画』に取り組んでいるので、より良い復興、いち早い復興に向けて住民の方と作り上げていこうということで、今後、防災対策として力強く進めていきたい」

ブルーシートで覆われた屋根が残り、今も小さな揺れが続く宿毛市。今回の地震を教訓に、私たちは南海トラフ地震に向けてできる備えを改めて考える必要があります。

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