8年ぶり五輪切符「100になるかゼロになるか」 34歳田中佑典が3位 19日に運命のパリ選考ラストマッチ【体操NHK杯】

男子個人総合で、鉄棒の演技を終えてガッツポーズする田中佑典(撮影・中村太一)

◆体操 NHK杯(17日、群馬・高崎アリーナ)

パリ五輪代表最終選考会を兼ねて男子予選が行われ、全日本選手権6位で3度目の五輪を目指す田中佑典(田中ク)は255・128点で3位につけた。個人総合の代表権が得られる2位以内までは1・367点。19日の決勝では2016年リオデジャネイロ五輪以来、8年ぶりの切符獲得へ挑む。

試合を終えると、ほっと息をついた。「今がピークのようです」と笑い「点数としても6種目の出来としても全体的によくまとめられた」とうなずく。平行棒では15・100点として種目別の全体2位、鉄棒は14・666点で同4位と好スコアを記録し順位を上げた。

美しい倒立や技さばきが持ち味の34歳。30代で体への負担の大きい6種目で争う個人総合を戦うのは異例だ。12年のロンドン、16年のリオデジャネイロ五輪で個人総合を連覇した内村航平さんも32歳で迎えた21年の東京五輪は鉄棒に専念した中で、田中は健在ぶりを示している。

負傷に悩まされた時期もあって東京五輪では代表落ち。それでもパリを目指してトレーニングに打ち込み日本トップクラスの実力を維持している。「見せないようにしている」と言いながらも加齢に伴う体の変化を痛感する日々だ。ただ「体の使い方や整え方は年々理解できている。積み重ねができている」と経験に裏打ちされた確かな自信を見せる。

何度も経験してきた選考会の重圧に真っ向から立ち向かう。「五輪に行く確率を上げる生活をしてきて、少しずつ確率が上がってきていることを感じながらも、その確率が100になるかゼロになるかという恐怖もある。自分の演技ができるかどうか」。磨いた円熟の演技で再び大舞台に挑む権利を勝ち取る決意だ。

体操のパリ五輪代表選考は男女ともに5人。男子は昨年の世界選手権で個人総合2連覇の橋本が内定済み。4月の全日本選手権の得点を持ち点に争い、NHK杯で上位2人を選出する。残り2人はチーム貢献度で決定。貢献度枠は種目別で強いスペシャリストが有利で、個人総合で選出された選手とチームを組んだ場合、団体総合の得点が最も高くなる選手を選ぶ。

© 株式会社西日本新聞社